大塚明夫が『ルパン三世』次元大介にぴったりな理由 老若男女から支持される威厳と愛嬌

 アニメ化50周年を迎えた『ルパン三世』の新作テレビアニメシリーズ『ルパン三世 PART6』が10月9日より⽇本テレビ系でスタートする。そしてこの節目に次元大介の声優を務める小林清志が勇退を発表し、大塚明夫に交代することが先日発表された。

次元大介(c)TMS・NTV

 アニメ『ルパン三世』は1971年にスタート。これまでに主人公・ルパン三世の声優が1995年に山田康雄から栗田貫一に代わり、2011年には石川五ェ門、峰不二子、銭形幸一の声優が、それぞれ浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一に交代となっている。その中で唯一、小林はアニメシリーズ開始当初から関わり続けた人物であり、約50年間次元を演じ続けた。

 細身のスーツに中折れ帽を深く被り、輪郭を覆うように生やしたあご髭が特徴的な次元大介。元殺し屋の彼は愛用のリボルバー銃を使った“早撃ち0.3秒”の超越した技をもって、長年ルパンの頼れる相棒として活躍してきた。ハードボイルドな見た目と粋な佇まいで男性人気の高い次元だが、実は女性からの支持も厚い。女嫌いで通っているが、ロマンチストでスマートな優しさを見せる場面も多々あるから。飄々としているのに、一筋縄では解き明かせないその深みに人はいつしかはまっていくのだ。小林清志のコメントにもあった「雰囲気はJAZZにも似ている」(参照:『ルパン三世 PART6』次元大介が小林清志から大塚明夫へ 「あとは明夫ちゃんに委ねます」)という言葉がストンと胸に落ちる。

 そんな次元を10月から演じる大塚明夫はどのような人物なのか。人気ゲーム『メタルギアソリッド』シリーズ(ソリッド・スネーク)や『楽しいムーミン一家』(ムーミンパパ)、『ブラック・ジャック』(ブラック・ジャック)を代表作に持ち、洋画の吹き替えにも多数出演する大塚。実は『ルパン三世』とも縁が深く、彼の父で声優の故・大塚周夫は初代石川五エ門役だった。若い頃は仕事熱心で多忙を極める父に対して反発心もあったようだが、自身も役者、声優業をスタートさせ、かつて父が演じた『ゲゲゲの鬼太郎』のねずみ男役を務めた時の気持ちを後に「(父の)セリフ回しだったりとかが残っていて。親父だったらどう演じるだろうと探っていって音に出してみると、親父がまだ生きているような、会えるような気がするんだよ」(参照:「ABEMA TIMES」声優・大塚明夫、亡き父・大塚周夫との関係を語る「親父だったらどう演じるだろう」)と明かしている。

大塚明夫

 誰もが耳にすれば分かる“ダンディな声”。ただ決して大塚の声はその一言で表現することができず、同じ声の中にもキャラクターによって威厳、哀愁、色気、野心といった様々な要素を滲ませる。言うなれば、一人ひとりがそれまで歩んできた道のりを表す“足跡”のようなもの。生い立ちや経歴が一切描かれていなくとも、酸いも甘いも噛み分けたキャラクターの人生が大塚の声一つで追憶できる。

 近年ではそんな大人の魅力溢れる大塚の存在が、人気アニメ『ゆるキャン△』を通じて若い世代にも広まった。大塚は同作で主人公の一人である志摩リンの祖父役とナレーションを務め、女子高生たちがアウトドアを楽しむ、ののほほんとした癒される世界観を聴いていると思わず心地よくて眠ってしまいそうな声で表現。バイクで一人旅をし、孫が困った時には言葉数少なくそっと手を差し伸べる祖父を演じる際には、頼りになる大人の余裕を見せつけた。10~20代の層はそんな大塚に憧れ、今年5月に放送された『教えてもらう前と後』(MBS・TBS系)でも石田彰や梶裕貴らと共に“イケボ声優神5”として紹介されている。

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