『おかえりモネ』“内田くん”の大変貌を体現 清水尋也、カメレオン俳優としてさらに進化

清水尋也、『おかえりモネ』で大変貌を好演

 ようやく想いが通じ合った百音(清原果耶)と菅波(坂口健太郎)だったが、菅波は東京を離れ登米の診療所に専念することを決める。2人が東京で過ごす限られた時間と、自身の出演するコーナーの不振に悩む神野(今田美桜)の姿などを軸にして描かれた『おかえりモネ』の第17週「私たちに出来ること」。この1週間で、最も大きな変化を見せた登場人物は他でもない内田衛(清水尋也)であろう。

 花粉症アプリのプレゼンを大成功させることに続き、朝岡(西島秀俊)の計らいによって『あさキラッ』の気象キャスターを神野と日替わりで務めることになる内田。そうした仕事面でのステップアップもさることながら、服装も髪型もよく言えば個性的な、いわゆるオタクキャラの典型であった内田が、突然「まもちゃん」「すーちゃん」と呼び合う仲になった明日美(恒松祐里)のサポートもあってかスマートな見た目へと大変身。キャスターとして出演するや瞬く間に人気を獲得するなど、あらゆる面で隠された素質を開花させたのである。

 そんな内田役を演じている清水尋也という俳優もまた、この内田衛というキャラクターにどこか通じるものがあると思えてならない。いくつもの武器を隠し持ちながら、それをちょっとずつ使って進化を遂げ、まだまだ何かを隠し持っているのではないかとついつい気になってしまう。それをシンプルに“奥行き”と言っていいのか、それとも“不思議”と捉えていいのかも定まらないが、作品ごとに見せる表情の違いに常々驚かされてきたことは紛れもない事実である。

 おそらく世間的にもその存在が認識されるようになったのは、2014年に公開された中島哲也監督の『渇き。』であろう。小松菜奈演じるヒロインの加奈子に心酔していく物語の語りべの一人であり、壮絶ないじめを受けたことから完全に覇気を失いきった難役を、清水は撮影時14歳で見事に演じ切るのである。かと思えば続く『ソロモンの偽証 前編/後編』では対照的にいじめをする側の不良中学生に転じ、『ストレイヤーズ・クロニクル』では超人的な能力を持つ引きこもり少年に。この時点ではまだ、同世代の俳優たちとの共演作が主であり、極端な役回りで周囲から少し浮いた立ち回りを得ることで存在感を発揮する、得な俳優というイメージも少なからずあった。

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