千葉真一さんが日本映画界に遺したもの フィルモグラフィーからその功績を振り返る
「千葉さんはもらったギャラを全部撮影機材に費やしたり、俳優としてよりもアクション監督として力を注ぎすぎたりして、俳優としての良い時期をそちらに傾倒しすぎたのではないかと思うことがあります。しかし、そうした情熱が人を巻き込む、この人に付いて行きたいを思わせてしまう格好良さが千葉さんにはあったと思います。真田広之さん、志穂美悦子さん、堤真一さんなど、現在も活躍中のJAC出身の俳優は多いのですが、彼らに共通するのはアクションもできて、演技もできる。アクションが介在しない作品でも、俳優として突出した人材を輩出した点がすごいと思います。それは千葉さん自身が東映でデビューして役者としてのキャリアを積んでいたところが大きいと思いますし、海外を見据えていた点は、真田さんに継承されています。千葉さんも、もう少し若いときにハリウッド進出できていれば、引く手数多の存在になっていたかもしれません。その面では、今は新田真剣佑さん、眞栄田郷敦という2人の息子さんたちも2世俳優などと全く感じさせない活躍をされています。真剣佑さんはハリウッド作品にも挑戦中で、千葉さんもうれしく思っているのではないでしょうか。これからも海外の作品に出演する真田さんや真剣佑さんを見るたびに、千葉さんの存在に思いをはせることになると思います」
日本映画界にとって不世出の存在だった千葉真一さん。そのフィルモグラフィを振り返りながら、追悼の意を捧げたい。