『推しの王子様』泉美がついていた2つの嘘 航に向かって伝えた「好き」

『推しの王子様』泉美がついていた2つの嘘

 「何もかも捨ててしまった」と、窓から遠くを見つめる泉美(比嘉愛未)は、自ら立ち上げたペガサス・インクを辞め、住んでいた家も引き払い、これまでいた場所から失踪するかのように実家に戻ってきていた。『推しの王子様』(フジテレビ系)の最終話は、泉美が“泉美らしさ”を取り戻す、再生の物語であった。

 泉美は、自分を突き動かしていた乙女ゲームへの情熱が失せ、プレイしていた「ラブ・マイ・ペガサス」もサ終し、推しのキャラクター・ケント様にも会えないいま、何もする気になれず、ぼんやりと過ごしていた。

 泉美を失ったペガサス・インクは早速、親会社のランタン・ホールディングスにより体制が刷新され、新しい業務フローが適用される。しかしそれは、キャラクターのデザインなどをペガサス・インクとは別の会社に丸投げするというもの。ゲームの細部までこだわってきたこれまでとは全く異なる仕事の仕方に、芽衣(徳永えり)をはじめとするスタッフたちは大反発する。その新しい体制で臨んだ、乙女ゲーム「恋する森の中へ」の新規イベントは、案の定、“作画が崩壊している”とSNSで炎上する騒ぎに。この騒ぎは風の噂で泉美の元へと届き、気になった泉美は、何かを振り払うように「恋する森の中へ」をプレイし始める。社長としてのプレッシャーや誰かのためという思いがなくなった状態でプレイしたゲームを楽しく感じた泉美は、自分の気持ちに素直になることを決意するのだった。

 泉美には、自分の気持ちに嘘をついていたことが2つあるように思う。まずは仕事への思いだ。スタッフがやりたいことを実現させたい、と思うことは社長としては正しかったのかもしれない。だが、大好きなスタッフたちと、様々議論しながら、自分たちが大切にしたいと思えるゲームを真心こめて作り上げていく。それこそが泉美のやりたかった仕事だったのではないだろうか。それは、ペガサス・インクのメンバーも同じことのようで、なんと全員がランタンを辞め、独立。再び泉美を社長として、ペガサス・インクを設立することになったのだった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる