『ホワット・イフ…?』第4話はこれまでと違う ドクター・ストレンジの悲劇は伏線か?
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の“もしも”の世界を描く『ホワット・イフ…?』。今回のエピソード「もしも…ドクター・ストレンジが手の代わりに恋人を失ったら?」は、そのタイトルどおり、映画『ドクター・ストレンジ』で描かれたオリジン(誕生秘話)をなぞっています。しかし今回のエピソードは今までとちょっと趣が異なります。
映画『ドクター・ストレンジ』では、天才医師スティーブン・ストレンジが交通事故に遭い、メスをふるう大事な指に大けがをしてしまいます。医者としての生命をたたれてしまうわけです。そして藁にもすがる思いで魔法の修行をして指を元に戻そうとするわけです。しかし魔法使いとなったストレンジは大いなる使命に目覚め、自分の指を治すのではなくドクター・ストレンジとして人々を守る人生を選びます。ところがこのもしもの世界ではスティーブン・ストレンジが事故で失うものはもっと大きい。愛する女性パーマーを失ってしまうのです。そしてストレンジはパーマーとまた会いたい一心で魔法使いとなります。
僕が「あれ?今までちょっと違うパターンだな」と思ったのはまさにここなんです。動機はどうあれドクター・ストレンジというヒーローは存在しているわけです。今までの『ホワット・イフ…?』なら、「もしもパーマーが魔法使いになっていたら?」とか「ストレンジが交通事故に遭わず魔法使いにならなかったら?」ぐらいのレベルの“もしも”が描かれる。それと比べると“もしも”感が弱い気がしたのです。しかしこのエピソードの真骨頂はここからで、この世界の中で“パーマーを生き返らせる”“生き返らせない”の2つの分岐が生じ、それぞれの選択をしたドクター・ストレンジ同士が戦うというすごい展開になります。2人の戦いは『ホワット・イフ…?』史上最大の悲劇で幕を閉じます。あまりにもすごいことが起こってしまうので、このシリーズの案内人であるウォッチャーが初めて劇中で起こる出来事についてちょっと踏み込んだ発言をしてしまうぐらいですから。
先日話題になった『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の予告ではドクター・ストレンジの魔法がとんでもないマルチバース現象を引き起こしてしまう様子が描かれていました。そして次のドクター・ストレンジ映画のタイトルは『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題)』です。ドクター・ストレンジがマルチバースに絡むと危険なことが起こる、ということを映画に先駆けて今回のエピソードが示唆しているように思われます。