『ドライブ・マイ・カー』で重要な役どころに 三浦透子の淡々とした演技に隠されたその実力
そもそも三浦は、子役からキャリアをスタートさせ経験を積み上げてきた実力者である。『悪の教典』(2012年)や『鈴木先生』(2013年)などの学園モノでは生徒役に扮していたことも記憶に残ってはいるが、やはり作品ごとに彼女の印象が強く残るようになってきたのはここ数年のことなのではないだろうか。『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018年)といったクレイジーな作品から、大人のラブストーリー『ロマンスドール』(2020年)などでヒロインと対になるような助演を務め上げてきた。昨年公開された『おらおらでひとりいぐも』にて、自立した女性を目指すも、不安を抱きながら日々を過ごすヒロインの頼れる友人役を好演していたことは特に記憶に新しいところだ。先輩俳優たち相手に悠然と構える俳優としての姿勢は非常に頼もしい。
そんな三浦透子。先に作品名を挙げているように、冨永昌敬監督やタナダユキ監督、沖田修一監督など、特異な作家性を持つ監督たちから愛されてきた印象が強くある。2019年公開の大ヒットアニメーション『天気の子』の重要なシーンで使用される劇中歌を担当するなどの多彩さも、すでに世界に対して示している。今回の「ドライバー(運転手)」役を経て、今後どのようなドライビング・テクニックで魅せてくれるのか、なんとか追走していきたいものである。
■公開情報
『ドライブ・マイ・カー』
全国公開中
出演:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、パク・ユリム、ジン・デヨン、ソニア・ユアン、ペリー・ディゾン、アン・フィテ、安部聡子、岡田将生
原作:村上春樹『ドライブ・マイ・カー』(短編小説集『女のいない男たち』所収/文春文庫刊)
監督:濱口竜介
脚本:濱口竜介、大江崇允
音楽:石橋英子
製作:『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント、ビターズ・エンド
制作プロダクション:C&I エンタテインメント
配給:ビターズ・エンド
2021/日本/1.85:1/179分/PG-12
(c)2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
公式サイト:dmc.bitters.co.jp