『おかえりモネ』百音と菅波の関係はどう変化? 過去朝ドラの“初恋”から検証

『おかえりモネ』百音と菅波の関係どう変化?

 百音(清原果耶)は同じ下宿先で暮らすことになった幼なじみの明日美(恒松祐里)に「好きな人はいないのか」と聞かれても全力で否定する。百音は、妹の未知(蒔田彩珠)と亮(永瀬廉)が地元で時々会って魚の話をしたりして、なんとなくいい感じだと知っていても自分の恋愛については、まだ誰にも話そうとしていない。

 『おかえりモネ』(NHK総合)の第11週では、奥手にもほどがある百音の初恋にも分かりやすい変化があった。上京して4カ月、百音はコインランドリーで菅波(坂口健太郎)と再会したのだ。百音と偶然会えたことが本心ではうれしい(?)くせに、第一声が「納得がいきませんね」で、実際納得がいかなそうな顔をした菅波。「人口1300万人ですよ。会いたい人にそう簡単にばったり会えるような、なまぬるい世界ではありません」と言い、2人の行動範囲が重なることに釈然としない。

 無愛想でそっけない態度をとりつつ、誰かに話を聞いてほしい百音の心の内にそっと耳を傾け、11分間という洗濯機が回っている短い時間で的確なアドバイスをするのが彼の良さであり、少し残念なところでもある。医師として患者に接するのであれば情に流されず、論理的に説明することが望ましいが、好意があったとしても感情の見えにくい相手との恋愛は難しい。

 百音が登米の森林組合に勤めていた頃、周囲の大人たちが2人の恋の進展の遅さ、何も始まらなさにヤキモキしていたが、百音はコインランドリーで向き合って「私、先生にずっと会いた……」と、途中までしか言えなかったとはいえ、自分の素直な気持ちを直接菅波に伝えようとしていた。それは、慎重すぎて石橋を叩いて渡るどころか真面目に壊そうとする百音にとって大きな一歩ともいえるだろう。


 朝ドラにおける主人公の初恋を振り返ると、最近ではとくに実らないケースが目立つ。『おちょやん』の千代(杉咲花)の初恋は京都の撮影所で出会った助監督の小暮(若葉竜也)だった。恋愛経験がなく、女優として恋する女性を演じることができず役を降ろされてしまった千代は、誰かと恋人の真似だけでもしてみたらいいというアドバイスを受ける。そこで浮かんだのが優しい小暮の顔で、彼は快く「仮の恋人役」を引き受けてくれた。

 恋人のフリをして食事をしていると、小暮は「休憩所で千代ちゃんと話しているとなんだかいつもホッとして元気になれた」と打ち明け、「だから今日も話がしたかったんだ」と、ピュアな眼差しを千代に向ける。この一件で千代はすっかり小暮のことが気になってしまうが、実は彼が好きなのはスター女優の高城百合子(井川遥)で、百合子が相手役と駆け落ちしたことで小暮も千代も同時に失恋状態に陥ってしまった。

 その後、小暮が病院の後を継ぐため映画監督になるのを諦め、千代に一緒に東京へ行ってほしいとプロポーズするが、そのときの千代は役者を続けたい気持ちが固まっていた。結局、千代の初恋はすれ違いで実ることがなかったが、小暮との淡い初恋は役者道を邁進することになる千代の、つかの間の甘い思い出となった。

 また、主人公の喜美子(戸田恵梨香)の幼なじみの2人、照子(大島優子)と信作(林遺都)が7月29日に結婚を発表したことから「スカーレット婚」と話題になっているが、じつは『スカーレット』では喜美子の初恋も、幼なじみ2人の初恋も実っていない。大島と林の結婚報道に「照子の初恋が実った」とSNSでは盛り上がったが、劇中ではそれぞれ別の人と結婚して幸せになっている。

 一方、喜美子の初恋の相手は大阪で女中として働いていた「荒木荘」の住人、医学生の圭介(溝端淳平)だった。圭介が犬の散歩をしていた女性に一目ぼれ。喜美子は、自分の気持ちに気づかないまま、圭介の恋を応援する。その協力が実り、圭介が片思いしていた相手が荒木荘に来たことで、なぜか落ち込む喜美子にちや子(水野美紀)が圭介への恋心を指摘。やっと自覚できたときに初恋の終わりを知るという、淡くて切ない初恋を描いていた。

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