『プロミス・シンデレラ』は脇役陣も面白い 井之脇海&松井玲奈、キーマンとしての存在感

『プロミス・シンデレラ』は脇役陣も面白い!

 主人公・早梅(二階堂ふみ)と不倫夫・正弘(井之脇海)の直接対決が見られた『プロミス・シンデレラ』(TBS系)第3話。もちろん、イケメン性悪高校生・壱成(眞栄田郷敦)の発案によるゲームで、不倫夫に慰謝料を請求しようというものだ。

 真面目で、見るからに不器用、そして“地味で冴えない”けれど優しい正弘のことに、いまだ不倫の事実が信じられず、本当は別の事情があるのを隠すための嘘なのではないかと思い始めていた矢先、それゆえ彼と向き合うことを後回しにしてきた早梅にとって、ある意味良いきっかけになったとも言える。

 不倫の現場をバッチリ押さえてしまい、現実から目を背けてばかりではいられなくなってしまった早梅だったが、正弘を目の前にすると怒りをぶつけるでも、泣きつくでも理由を問いただすでもなく、淡々と事務的に処理しようとする。

 そんな早梅の不完全燃焼で消化不良な様子に歯痒さを募らせたのは壱成だった。壱成が彼女の想いを代弁するシーンは、“ゲームのため”“自分の楽しみのため”ではなく、ただただ“早梅のため”でしかなかった。あるいは、どうやら幼少期に家を出て行ったのであろう彼の母親をついぞ引き止めることが出来なかった、本音を伝えられなかった後悔をここでぶつけたのか。今話で初めて早梅の身の上が明かされ、中学時代に母親を亡くしたことが明らかになった。早梅と壱成には大切な人を“喪失”した共通の経験があったのだ。

 一方、井之脇海といえば、これまで学生役や弟分的な役どころが多かったが、本作では一気に31歳の冴えないサラリーマンの夫役。井之脇だと気づかなかった視聴者も少なくなかったのではないだろうか。『義母と娘のブルース』(TBS系)での、みゆき(上白石萌歌)に一途に想いを寄せる高校生の大樹役から、時の流れの早さとそして彼のますます磨き続けられている抜群の演技力を感じずにはいられなかった。最近では、『俺の家の話』(TBS系)で熱演したプロレスラーのプリティ原役も記憶に新しい。愛されキャラかつハイテンションなかなりの“陽キャラ”だったこと、さらに役作りのために15キロ増量したことも相まって、全く同一人物には見えない。現在配信中の『ギヴン』(FOD)での梶秋彦役では強面のドラマーを演じ、醸し出す空気感から歩き方、声の出し方までまるっきり別人格で驚かされる。

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