クセのある役柄で脚光を浴びた永山瑛太と岡田将生 『まめ夫』『リコカツ 』で再評価
4月期ドラマが好評のうちに終了した今、一抹の寂しさの中で思い起こされるのがインパクトのある役柄で脚光を浴びた岡田将生と永山瑛太の存在だろう。4月期ドラマの多くの作品の中でも群を抜いて目立ったキャラクターを演じた二人だが、なぜこれほどまでに注目されたのかドラマ内での役柄を振り返りつつ考えてみたい。
2006年のデビュー当初はその整った容姿にふさわしい“正統派ヒーロー”を演じることの多かった岡田将生だが、2010年に入るとこれまでのイメージとかけ離れた姿をスクリーンで見せ観客を驚かせる。この年、『告白』、『悪人』と2本の映画で立て続けに岡田が演じた役は、 “鼻につく嫌なやつ”。これまでのイメージを拭い去り挑戦したこの2作の演技は評価され、その年の日本アカデミー賞で助演男優賞にノミネートされた。そして現在公開中の『Arc アーク』では、天才科学者・天音役を好演中だ。
イメージに囚われることなく様々な作品に挑戦し、幅広い役をこなすことで役者としての実力を着実に向上させていく。そして今回、岡田が『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)で演じたのは「何とも面倒くさい男」こと中村慎森だった。
慎森は主人公の大豆田とわ子(松たか子)の3番目の元夫にして、とわ子が社長を務める会社の顧問弁護士を担う。ドラマののっけから「挨拶、あの無駄な風習。挨拶っていります?」と失礼な物言いで場を凍らせるなど、持ち前の空気の読めなさで強烈なインパクトを残した。度々面倒なことを言い出す慎森だが、実は甘えん坊で子供のような可愛らしさも持ち合わせている。岡田のファンなら一度は見たことがあるだろうドタバタとしたスキップ姿を彷彿とさせる走り方や、口を尖らせて拗ねる愛らしさなど、まさに素の岡田を降臨させたかのような芝居の作り方にはますます引き込まれた。
実は慎森の持つキャラクター性こそが本作の脚本家・坂元裕二作品になじみのある役柄なのである。岡田はそんな坂本作品の「面倒くさい男」キャラをしっかり自分のものへと昇華し、岡田にしか生み出せない唯一無二の可愛さをブレンドした慎森を作り上げ、多くの視聴者の心を鷲掴みにした。私たちはどこか、慎森に振り回されたいとすら思ってしまう。