『おかえりモネ』清原果耶を動かす西島秀俊の言葉 百音が“いのちを守る”仕事と向き合う

『おかえりモネ』が描く“いのちを守る”仕事

 どこまでも続いているかのように見える広い海、その時々でいかようにも表情を変える空、伐採された後も形を変え人々の生活を豊かにしてくれる木々が立ち並ぶ山。そんな神秘的な宮城県の風景とともに描かれる『おかえりモネ』(NHK総合)。今週は林間学校の実習中に予期せぬ事態に巻き込まれたことで、モネ(清原果耶)が人間の力ではコントロールできない自然の恐ろしさを知ることとなった。

 気象予報士の朝岡(西島秀俊)から電話でアドバイスを受け、無事に避難小屋にたどり着いたモネと生徒の1人・圭輔(阿久津慶人)。その場で救助を待つことになったが、圭輔は低体温症で意識を失ってしまう。しかし、モネが菅波(坂口健太郎)から教わった対処法のおかげで圭輔は意識を取り戻した。震えは身体の体温を上げるエネルギーが残っていることの証拠。菅波の先を見越した判断力と確かな知識、そしてモネのまだまだ未熟ながら冷静な対処が1人の命を救ったのだ。

 救助され、駆けつけた圭輔の父親からお礼を言われるモネ。そんな彼女に菅波は「知り合いの気象予報士と、知り合いの医者の、知識と判断に助けられただけです」と辛辣な言葉をかける。森林組合に正式採用されても、これだ!と思えるような“何か”を見つけたいともがくモネは菅波の目には周りの人に甘えているように見えたのだ。もちろん、モネ自身も本採用試験を満点で合格するほどには努力している。しかし、自分探しの片手間にこなせるほど山での生活は甘くない。朝岡があの時電話に出なかったら、菅波が圭輔が低体温症になる可能性をモネに伝えなかったら、最悪の事態になっていたかもしれない。

 菅波は一見ドライで取っつきにくい性格だが、内面にはとても熱いものがある。耳が痛くなるような言葉をかけるのも、モネを1人の大人として対等に接しているからだろう。サヤカ(夏木マリ)の自宅に飾られている「仁に過ぎれば弱くなる」という伊達政宗の遺言のように、モネを優しく見守る人だけではなく菅波のような厳しい大人も必要だ。また、反面モネに対する言葉を自分自身にも言い聞かせるように語る姿も気になる。「何かあるかもしれないと思ったんです」と登米に来た理由を以前明かしていた菅波。なかなか上手くコミュニケーションが取れていない2人だが、もしかしたら似たような思いを抱えているのかもしれない。

 一方、朝岡はモネに電話をかけ、その日の天候を正確に把握するため雨量や天気の移り変わりについて尋ねる。自然相手だからこそ“絶対”はないと言いながらも、今後の気象予報に役立てるために研究を重ねる姿から朝岡の誠実さが伝わってきた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる