『おかえりモネ』の真面目なスタンス 安達奈緒子のメッセージは10年前よりも響く?

『おかえりモネ』の真面目なスタンス 安達奈緒子のメッセージは10年前よりも響く?

 新しいNHKの連続テレビ小説(以下、朝ドラ)『おかえりモネ』がはじまった。

 本作の主人公は、宮城県気仙沼市の離島・亀島で生まれたモネこと永浦百音(清原果耶)。モネが生まれた1995年9月の台風の日から物語は始まり、2014年5月に変わる。高校を卒業したモネは生まれ育った海の町・亀島を出て、同じ気仙沼にある山の町・登米で暮らしていた。祖父の古い知り合いである新田サヤカ(夏木マリ)の家に下宿しながら、米麻町森林組合で働いていたモネは、気象キャスターの朝岡覚(西島秀俊)と出会ったことで気象予報士の仕事に興味を持つようになる。

 父親からの電話に出ないモネは、何らかの理由で島を離れたかったようだ。朝岡との会話から3年前の東日本大震災の時に「島にいなかったこと」が関係ありそうだが、真相はまだわからない。

 モネの過去は断片的にしか語られていないため、彼女のことが一番わからない。だからこそ、モネのことが気になってしまう。

 モネは真面目で冷静な性格で、仕事も普通にこなしているが、どこか不安定で何か悩みを抱えていることが伝わってくる。モネを演じる清原果耶の表情がとにかく絶妙で、同じ笑顔でも微妙なグラデーションがあるため、表情を追っているだけで引き込まれていく。

 対して、モネを取り巻く大人たちは安定感がある。モネを預かるサヤカも医師の菅波光太朗(坂口健太郎)も気象キャスターの朝岡も、自立した大人としてモネに接している。それは亀島にいるモネの祖父母も同様で、過干渉にみえる父親の耕治(内野聖陽)も含め、大人たちが彼女のことを遠くから見守っているという状況が、まずは描かれている。

 これは人間だけでなく森林組合の施設や森林といった風景に対しても同様のことが言えるだろう。本作を見ていてもっとも印象に残るのは、ロケ撮影の利点を活かしたドローンによる空撮で捉えた街並みや低い視点から見上げた美しい空の映像だ。とにかくカメラワークとレイアウトがとても豊富で、映像を見ているだけで楽しめる。

 つまり「モネを取り巻く世界はこんなに美しくて豊かなのだ」ということを、第1週は描いていたと言えるだろう。同時に「重荷となるような理想は、モネに背負わせたくない」と作り手が考えていることも伝わってくる。

 「水産業を発展させたい」から研究者になると言う妹の未知(蒔田彩珠)や人の命を救いたいから医師を目指す菅波のような「強い気持ち」が自分にないことを気にしているモネは「ただ、誰かの役に立ちたい」と考えており、サヤカに見せられた300年生きてきたヒバの木が切られた後も人の役に立つことを「最高だ」と語る。

 そんなモネのことを「真っ当だ」と褒めた後「別にモネが死ぬまで、いや死んだあどもな~んの役に立だなくたっていいのよ」とサヤカは忠告するが「これから頑張んなぎゃいげない18歳のあなたにそれを言っちゃぁ、おしまいよ」と言って意見を取り下げ「悩め悩め悩め!」と最後は大人の意見を言う。

 子どもを優しく見守り「将来のことは自分で悩んで考えろ」と促すのが、本作の立ち位置なのだろう。これは脚本を担当する安達奈緒子らしい真面目なスタンスだと思う。

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