コタローのツンデレも発動! 『コタローは1人暮らし』はすべての大人必見のドラマだ

『コタローは1人暮らし』は全ての大人必見!

 「だってよ、自分の子どもがかわいくないはずがねえんだ」ーー涙ながらにこぼした田丸(生瀬勝久)の言葉に、多くの人がこの作品を観てくれればいいのにと思った。「親」だけではなく、すべての大人と、いつか大人になる人たち、みんなに『コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)を観てほしい。そうすれば、この世界はほんの少し、優しくなるような気がする。

 優しさとは、想像力でもある。お風呂に入っていないことを理由に狩野(横山裕)を避けるコタロー(川原瑛都)から「誰かに嫌われたくないという思い」をくみ取る綾乃(百田夏菜子)しかり、コタローが抱えているであろうさまざまに深入りせず、ただただ愛情を注ぎ、そばにいる美月(山本舞香)しかり。本作のキャラクターたちには、あたたかい想像力がある。

 最愛の息子と、その未来のために心を鬼にした田丸も同じくだ。息子のためを思ってとった、辛い態度。そして「コタローきゅんの両親もそうだったんじゃねえのかな」「愛情はあったはずだと俺は思う」と、息子の写真を飾った部屋で、優しい涙をこぼす。

 そんな田丸に、カーペットの上を滑らせてさりげなくティッシュをパスするのも、少し生意気を言うのも、狩野らしい優しさだ。たまらず涙をこぼしたとき、ティッシュをくれる人がいる。引っ越しの挨拶にとコタローが贈ったティッシュが今宵、田丸の涙を拭う。『アパートの清水』の住民たちはみんなひとりじゃない。誰かと生きているのだ。

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