狩野とコタローの優しさが今こそ必要? 『コタローは1人暮らし』明らかになった悲痛な事実

『コタローは1人暮らし』の悲痛な現実

 「優しさ」という、目には見えないもの。しっかりと感じよう、返せるならばきちんと返していこう。『コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)第3話を通し、そんなことを考えた。

 幼稚園にコタロー(川原瑛都)を迎えにきた狩野(横山裕)は、これから自宅に編集者が来るのだと、不安げだ。担当の福野(大倉孝二)ではなく、若手の矢野(戸塚純貴)が訪れたことにやや拍子抜けした狩野だったが、なんとそこへコタローも同席。矢野の原稿チェックは福野以上に容赦がなく、いよいよ具合を悪くした狩野はその場を中座する。

 

 「願わくば、あまり狩野どのをいじめないでほしい」と矢野に頼むコタロー。矢野は、いじめているのではなく期待しているからこその厳しい言葉であること、福野もまた、狩野に対し親心のようなものを持っているのだと誠実に応える。その言葉を聞いたコタローは、ひと安心だ。

 コタローが同席した理由は「いつものお返し」。その言葉の意味に、狩野がハッと気付くシーンの回想が印象的だった。コタローのそばにはいつも狩野がいる。だから今日は、コタローが狩野の「保護者」をする番。「保護者つれてるトシじゃねえよ……」と言う狩野だが、コタローは確かに、矢野から狩野を守ろうとしていた。

 お弁当づくりを手伝ってくれた美月(山本舞香)へのお返しに、ピクニックへと誘ったコタロー。しかしコタローは、迷子の子どもを放っておけない。置き去りかもしれない、ベビーカーに乗った赤ちゃんにも「大丈夫ぞよ」と声をかける。自分も何度も迷子になったが、必ず母上が迎えに来てくれたと。

 迷子は、多くの人の身に覚えがあるはずだ。子どもにとって、これ以上ない絶望と恐怖。必ず迎えに来てくれると信じながらも「もう二度と会えないんじゃないか」「このまま永遠にひとりなのではないか」と、時間が経つにつれ不安が襲ってくる。赤ちゃんの母親が名乗り出たことを自分のことのように喜ぶコタローの姿に、1人で暮らす現状を思う。迎えに来る・来ないと、花占いのように揺れるあの感覚を、小さな胸にしまっているのだろうか。

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