A24がコスメラインを発表? 『ユーフォリア』にちなんだオリジナルブランド制作へ

A24スタジオがコスメラインを発表

 インディプロダクションカンパニーとして一線を画すA24が、どうやらコスメ産業にも参入するようだ。会社は現在、採用部門に新たに「コスメ部署」を加え、自社オリジナルのビューティーブランドをローンチしようとしているとのこと。そのコスメとは、HBOとA24がタッグを組んで制作したドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』にインスパイアされたものだという。

 本シリーズは9.11以降に生まれたデジタルネイティブ世代のティーンエイジャーの日々と、彼らの抱える闇を捉えた青春群像劇。ドラッグやセックス、死について扱うなどその内容はなかなか刺激的だ。主人公のルーは、ある時パーティでトランスジェンダーの転校生ジュールズに出会う。その他にも、実在するアイドルとのファンフィクション小説をネットで書いて多くのフォロワーに支持されるキャラクターも登場し、マッチングアプリやSNSのライク数、全てがそれぞれの自己肯定感に繋がっていく。まさに今の10代だからこそ抱える悩みや強迫観念、価値観の揺れや孤独などを社会問題に絡めて描く本作は、第72回エミー賞(2020年度)で3部門を受賞するに至った。

 その一つの主演女優賞を受賞したのは、ジュールズを演じるゼンデイヤ。マーベル・スタジオの『スパイダーマン』シリーズでヒロインのMJを演じていることでも知られる彼女が、一肌も二肌も脱いだ本作。同部門では、彼女が史上最年少の受賞となった。

 そして本シリーズはメイクアップ賞でもエミー賞を受賞している。劇中、ルーやジュールズのアイホール全体にかかった蛍光色のアイシャドウや華やかなグリッターメイクが特徴的で、何よりポスターにもなっているジュールズの“涙メイク”は、ドラッグに溺れる悲しげな彼女の悲しみと一時の幸福(煌めき)を表した、作品のアイコン的ビジュアルだ。

 手がけたのは、メイクアップアーティストのダニエラ・デイビー。彼女は過去にA24作品の『アンダー・ザ・シルバーレイク』でもその手腕を発揮した。そんな『ユーフォリア/EUPHORIA』にインスパイアされたブランド名「Rules Beauty」。ルーとジュールズの名をもじったもので、A24の採用情報(https://boards.greenhouse.io/a24/jobs/3128274)に突如登場した。現在、オペレーションとサプライチェーンのディレクターを募集している。

 また、『ユーフォリア/EUPHORIA』はシーズン1の毎話の撮影裏に迫る8冊のブックコレクションのリリースも予定されている。第93回アカデミー賞で多数の部門にノミネートされた『ミナリ』をはじめ、ショーレース作品も多く輩出するA24。その動向は今業界でもっとも注目の的だ。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。InstagramTwitter

■配信情報
『ユーフォリア/EUPHORIA』
Amazonプライム・ビデオにて有料配信中
監督・脚本:サム・レヴィンソン
製作総指揮:ドレイクほか
出演:ゼンデイヤ、ハンター・シェーファー、ジェイコブ・エローディ、バービー・フェレイラ、シドニー・スウィーニー
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公式サイト:https://www.star-ch.jp/drama/euphoria/sid=1/p=t/

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