『イチケイのカラス』第6話は名エピソードに 竹野内豊と再共演のバカリズムも存在感を発揮

『イチケイのカラス』第6話は名エピソードに 竹野内豊と再共演のバカリズムも存在感を発揮

 「“どうして”を全部やってみようと思って」。10年前、入間(竹野内豊)が日高(草刈民代)に語った、裁判官になった理由。5月10日に放送された『イチケイのカラス』(フジテレビ系)第6話では、ある窃盗事件を通して、入間が弁護士を辞めるきっかけとなった12年前の事件の輪郭がついに浮き彫りになる。ゲストであるバカリズムをはじめとした登場人物たちのキャラクター性がしっかりと立てられた上で、はやくもクライマックスに近付いていることを予感させる高揚感。なんとも見応えのあるエピソードであった。

 かつて弁護人を担当していた事件の公判で当時の国税庁職員・志摩総一郎(羽場裕一)の証人尋問を請求するが、裁判官であった日高によって却下された入間。それから12年の月日が流れ、志摩の家に前科6犯の岸田(バカリズム)が忍び込んだ窃盗事件の公判を担当することになる。饒舌で理路整然と語る岸田にどこか引っ掛かりを覚えるなか、事件の周囲でいくつもの不審な事柄が明らかになっていく。現場周辺の防犯カメラの映像を申請すると、ある新聞記者が先にその申請を出していた。しかもその人物は、何者かに突き落とされて意識不明の状態に。すぐさま職権を発動し捜査に乗り出す入間だったが、検察の城島(升毅)と井出(山崎育三郎)は上から圧力をかけられてしまうのだ。

 「蝶の羽ばたきが、地球の反対側で竜巻を起こす」。些細な出来事の波紋が広がり、それがやがて大きな出来事となる。15年ほど前に日本でもヒットしたSF映画『バタフライ・エフェクト』で紹介されて広く知れ渡ったこの「バタフライ効果」と呼ばれる理論が、今回のエピソードの重要なキーワードだ。序盤でいつも通り甥っ子の発言として引き合いに出した入間は、最高裁長官に内定した日高に対して「法曹界にどんな影響が広がっていくんでしょうね」とつぶやき、志摩が被害に遭った窃盗事件について「12年前の事件の波紋じゃないといいな」とゆさぶりをかける。

 そうした“いつも通り”の飄々とした公判の進行を目指しながらも、内心穏やかではないことがすぐに坂間(黒木華)に見破られてしまう入間。それはやはり、12年前の事件のキーパーソンであった志摩が関わる巨悪のことを薄々察していたからに他ならない。被告の岸田が何を盗んでいたのか、そして新聞記者が追っていた疑惑、何かを隠蔽するために岸田に取引を持ちかけた検察の上層部。いくつものピースがつながった末に、法壇を降りて被告と向き合う入間が語る「誰も傷つけない犯罪なんてない」と「自身の行動が知らずのうちに周りに影響及ぼす」の言葉。実に見事にまとめあげられ、しっかりと次に繋げられた脚本といえよう。

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