川上洋平に続き長岡亮介も ミュージシャンが俳優として起用される理由は“新鮮さ重視”?

ミュージシャンが俳優として起用される理由

 坂元裕二脚本のドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)にペトロールズや東京事変などで活躍するミュージシャンの長岡亮介がサプライズ的に出演したことが話題になった。

 役どころは主人公の大豆田とわ子(松たか子)の一人目の元夫、田中八作(松田龍平)とともにレストランを立ち上げたシェフ、持田潤平。ドラマの公式Twitterでは、起用についての裏側を「ギリギリまで悩み、突然閃いた長岡亮介さん。ダメ元でオファーしました」と明かしている。彼が東京事変で使用しているステージネーム「浮雲」のような、ひょうひょうとした味わいが作品の雰囲気にマッチしている。

 このようにミュージシャンがドラマに出演する例は数多い。星野源、ピエール瀧、及川光博、峯田和伸、渡辺大知、北村匠海など、俳優として継続的にドラマに出演を続けるミュージシャンも少なくないが、その一方で長岡のような意表を突いたミュージシャンのキャスティングが視聴者に鮮烈な印象を与えることがある。

 『MIU404』(TBS系)にデリバリー配達員役でゲスト出演したKing Gnuの井口理、『カルテット』(TBS系)に謎の男として出演したライムスターのMummy-Dなども、出番はわずかながら作品へのスパイスとして上手く作用していた。

 堂々たる演技を見せていたのが、今年1月クールのドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系)の[Alexandros]の川上洋平だ。川上が演じたのは、主人公・水無瀬碧(菅野美穂)を献身的に支えつつ、恋仲になりそうでならない担当編集者・橘漱石役。もともと演技に興味があったと語っているだけあり、ドラマ初出演とは思えない見事な演技ぶりだった。

 川上の起用は脚本の北川悦吏子の希望で実現したもの。北川は漱石役に「雰囲気や佇まいで見せる人」をイメージしており、俳優よりミュージシャンに演じてもらえないかと考えていた。映画監督、岩井俊二に相談したところ、川上を紹介されて決定したという経緯がある(参考:ドラマ初出演![Alexandros]川上洋平インタビュー!「漱石という役を手放したくないなって思ったんです」<ウチカレ> | WEBザテレビジョン)。

『おちょやん』(写真提供=NHK)

 キャリアのわりにはドラマ出演は少ないが、視聴者に大きなインパクトを与えたのが、NHKの朝ドラ『おちょやん』で主人公・千代(杉咲花)の父親・テルヲを演じたトータス松本だ。“朝ドラ史上最低の父親”とも言われるトラブルメーカーを圧巻の演技で演じて轟々たる反響を巻き起こしたトータスには、今後も俳優のオファーが殺到する予感がする。

『キネマの神様』(c)2021「キネマの神様」製作委員会

 同じくNHKの朝ドラ『エール』では、RADWIMPSの野田洋次郎が作曲家・木枯正人役を好演していた。野田は映画『キネマの神様』で、主人公の青年時代を演じる菅田将暉の盟友・テラシン役で出演することが決定している。

 月9の『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ系)では、西内まりや演じる主人公の相手役をflumpoolのボーカリスト、山村隆太が演じている。後藤博幸プロデューサーは「ファンの心をわしづかみにする山村さんのボイスとキラースマイル、そして独特の色気」を起用の理由に挙げていた(引用:西内まりや×flumpool山村ドラマ初共演 真逆の恋愛、結婚観の2人が… - 産経ニュース)。

『キャラクター』(c)2021映画「キャラクター」製作委員会

 ドラマではないが、まもなく公開される菅田将暉主演の映画『キャラクター』で、SEKAI NO OWARIのボーカリスト、Fukaseが殺人鬼の役で俳優デビューすることも発表されている。村瀬健プロデューサーは起用の理由を「本当に人を殺しそうな不思議な空気を持っている人を探していた」と明かしている(引用:セカオワFukase 俳優デビュー、天使の声持つ殺人鬼に 来年6月公開映画「キャラクター」― スポニチ Sponichi Annex 芸能)。

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