ブレインからポンコツまで! 『ネメシス』探偵役の幅広さが示す櫻井翔の魅力

『ネメシス』で探偵役演じる櫻井翔の魅力

 櫻井翔・広瀬すずW主演ドラマ『ネメシス』(日本テレビ系)が2021年4月から放送開始された。櫻井といえば2011年放送『謎解きはディナーのあとで』(フジテレビ系)でも影山というブレイン担当の毒舌執事を演じている。役柄の立ち位置としては『ネメシス』で演じるポンコツ探偵・風真尚希とは正反対であり、同じ探偵でもキャラクターの使い分けや彼の演技には違いがある。

助手の特殊能力を使って事件を解決!? 櫻井翔が演じるポンコツ探偵の愛らしさ

 日曜22時30分から日本テレビ系で放送中、1話完結型の探偵ドラマ『ネメシス』。江口洋介演じる栗田一秋が代表を務める探偵事務所「ネメシス」に訪れる依頼者の巻き込まれた事件を解決していく作品だ。櫻井翔はその探偵事務所に所属する探偵・風真を、そして広瀬すずが彼の助手・美神アンナを演じている。

 風真は探偵として所属しているにも関わらず、その推理能力には一抹の不安が残るキャラクターだ。これはネメシスの前身である栗田探偵事務所の時代から、自身で推理する機会が少なかったせいでもある。第1話から推理の大半を助手のアンナに頼る始末で、まさにポンコツ探偵そのもの。しかし櫻井翔の演技が、そのキャラクターを愛らしいものにしている。

 5月2日に放送された第4話「AIという名のもとに」では、女子校で発生した殺人事件を解決するため彼らが捜査に乗り出す。風真が過去に塾講師をやっていた頃の教え子だという姫川烝位(奥平大兼)の開発したAIを駆使し、犯人をあぶり出そうとする流れだ。

 風真は探偵になる以前、塾講師だけではなくイルカの調教師やラッパーなどをしており、たびたびその経験や人脈を使う。第1話から登場している上原黄衣子(大島優子)や星憲章(上田竜也)などとも打ち解けるのが早かった。人とのコミュニケーションに壁を作らず、懐に入り込むのが上手い性質は、演じている櫻井翔自身の人柄の良さによって際立っている。

 そんな風真が推理を披露し、事件解決へと周囲を誘う際に必ず使う決め口上がある。「この世に晴れない霧がないように、解けない謎もいつかは解ける。解いて見せましょう、この謎を。さあ、真相解明の時間です」このセリフが毎回、格好いい。だからこのシーンを心待ちにしているファンも多いはず。しかし、決まって推理をするのは助手のアンナだ。格好いいセリフを言うのにアンナの言う言葉をイヤフォン越しにそのまま言うだけの風真は、時おり「えっ、そうなの!?」と漏らしてしまう。そんなポンコツっぷりを見事演じている櫻井だが、現場でもどうやら“ポンコツ的役回り”に徹しているらしい。

ネメシスで風真を演じる櫻井翔、意識するのは相手を立てる役回り

 ドラマ『ネメシス』で共演する櫻井翔、広瀬すずは今回で3度目のタッグ。そんな彼は役柄を考慮してか、あえて広瀬すずに対しとんちんかんな質問をしてツッコミを受けるなどして、撮影現場でもポンコツ役に徹しているらしい。「少しでも楽しい気持ちで月曜をむかえてもらえるように」と制作関係者に語っていることから、自ら主役として振るまうよりも、あえておどけて現場の空気をほどくことに集中していることがわかる。

 「現場のグルーブ感というか、セッションしている感じというか、みんなが持ち寄ったプランで真剣勝負してる感じで、すごく刺激をもらえる現場です」と週刊朝日のインタビューでも語っていた櫻井。座長として場を引っ張る傍ら、決して周囲を置いてきぼりにすることもない。チームでものづくりをする感覚は、嵐として活動してきた知識と経験で培われたものだろうか。

 『ネメシス』第3話から初共演したという広瀬すずと橋本環奈に対しても、緊張をほぐすため現場では盛り上げ役に徹しているとか。ツッコまれ役を負うことでコミュニケーションの潤滑油も担っているのだろう。言葉にすると大役だが、櫻井なら苦にもせず自然とやってのけている印象だ。それが彼の語り継がれる人柄の良さの由縁なのだろう。

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