櫻井翔『先に生まれただけの僕』へのオマージュも? 『ネメシス』“AI×ミステリー”の新鮮味

『ネメシス』櫻井翔主演ドラマへのオマージュ

 密室殺人に人探し、そして前回は遊園地を舞台にした大掛かりな爆弾事件と、ミステリードラマの王道展開を圧倒的な情報量の多さと目まぐるしいスピード感でさばいてきた『ネメシス』(日本テレビ系)。5月2日に放送された第4話では、恋愛禁止の厳格な校則にしばられた格式高い女子校で起きた教師の転落死の謎を解き明かしていく。これまた王道のミステリードラマらしいものになるのかと思いきや、そこに登場するのは最新鋭の文明の利器である“AI”を駆使した画期的な捜査ときた。

 エリートばかりが集うデカルト女学院で、美術教師が校庭に転落して死亡するという事件が発生。警察が自殺で片付けようとするなか、他殺を疑ったスクールカウンセラーの雪村(村川絵梨)はネメシスに捜査を依頼する。一度は断るように風真(櫻井翔)に合図する栗田(江口洋介)だったが、学校名を聞いてすぐさま依頼を快諾。そして転入生として潜入捜査に臨んだアンナ(広瀬すず)は、死亡した教師が教え子のレナ(河合優実)と交際していたという噂を耳にすることに。

 捜査のタイムリミットである6時間以内に、生徒と教職員合わせて152人に聞き込みをしなくてはいけないという不可能なミッションを可能にするために、風真が呼び出すのはAI開発の天才という“姫ちゃん”こと姫川烝位(奥平大兼)。彼の開発したAIを使い、捜査対象者全員に対しスマートフォンから同時に質問をし、一気に情報を収集。そして証言の不一致を瞬時に判別し、事件発生時刻にアリバイのなかった人物を割り出していくのである。もっとも、そこから事件を解決へと導くのはいつも通りアンナの仕事となったわけだが、AIの精度が上がれば“探偵いらず”の状況になることもあり得るだけの技術にちがいない。とりわけ学校内のように容疑者が大勢いる空間にはもってこいの捜査方法といえよう。

 この姫川は、風真が塾講師をしていた時代の教え子だと紹介される。これまでのエピソードでも、宅配業者やイルカの調教師など、謎めいた過去の経歴が明らかにされてきた風真。「風真さんがやってたシリーズ」と銘打たれたこれらは、単なる小ネタのひとつなのか、それともドラマ全体を通して描かれる最大の謎である“20年前の事件”につながるヒントなのだろうか。いずれにせよ、その紹介シーンで姫川が言い放つ「先に生まれただけで上下関係が定まるなんて時代は終わってるんです」というセリフは、以前櫻井が主演を務めたドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)にかけたものだろう。

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