『リコカツ』ついに離婚撤回で新展開!? 北川景子×永山瑛太に学ぶ“理想の夫婦像”
もしかしたら、新婚早々に離婚を検討した2人だからこそ、取り繕うことなく互いの素を出し合えたのと同時に、下手に相手に“期待しなくなった”のも彼らが現在の良好な関係性を築けた要因として大きいのではないだろうか。
夫婦も“他人”に違いないのに、ひとたび“身内”だと思ってしまうと、どうしたって人は相手に期待してしまうし、自分の希望通りに動くことを望んでしまい、良かれと思ってあれこれ口出ししたくなってしまうものだ。
紘一と咲はいろいろな点で正反対なところが目立つが、咲の母・美土里(三石琴乃)が離婚を決意した理由に挙げていた「超えてはいけないライン」を互いが超えることはないのだろう。“ここだけは絶対に目をつぶれない、譲れない”というポイントさえ合っていれば、それで十分なはずで、それこそが結構難しかったりするのだ。
第4話ではなんと言っても咲の父・武史役のキャスト交代があり、第3話までを演じた佐野史郎の体調不良を受けて、平田満が代役を務めることになった。大手広告代理店を退職後もいまだ会社員時代の名刺を持ち歩く“バブルを味わった広告代理店マン”の何とも言えない胡散臭さや軽薄さ、傲慢さとその中に共存する小物感を佐野は見事に体現してくれていた。そこから朴訥な役どころ、あるいはかなり個性的な役柄を演じることが多い平田へのバトンタッチはどんなふうになるのか見当もつかなかったが、さすがはベテラン同士のお仕事だ。平田は初回登場回にして妻に離婚宣告を受けることになるわけだが、佐野が作った能天気で自分都合に物事を解釈しがちな夫・父親像を踏襲したまま、とうとう妻より三行半を突きつけられうろたえる情けなさや哀愁、滑稽さを見せてくれた。
登場初回にして、その背中で夫婦2人の“35年間の結婚生活”を感じさせられるのだから、本当にお見事としか言いようがない。
本当の意味での“新婚生活”リスタートとなった紘一と咲の行手を阻む要因として、次話から咲が編集担当になった恋愛小説家・水無月連(白洲迅)の存在感が増してきそうだ。次なる壁を2人は乗り越えられるのか、必見だ。
■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter
■放送情報
金曜ドラマ『リコカツ』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:北川景子、永山瑛太、高橋光臣、白洲迅、大野いと、田辺桃子、中田クルミ、平岩紙、宮崎美子、酒向芳、三石琴乃、佐野史郎
脚本:泉澤陽子
演出:坪井敏雄ほか
プロデュース:植田博樹、吉藤芽衣
主題歌:米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS