若手抜擢の難しさも? 『恋はDeepに』『リコカツ』など4月クールは恋愛ドラマ無双に
4月期の新ドラマのラインナップが発表され、特に恋愛ドラマについてはいつにも増して「豪華なメンツ揃い」だと盛り上がっている。
火曜ドラマの川口春奈&横浜流星出演『着飾る恋には理由があって』(TBS系、以後『着飾る恋』)に始まり、水曜ドラマの石原さとみ×綾野剛のW主演『恋はDeepに』(日本テレビ系、以後『恋ぷに』)、金曜ドラマでの北川景子&永山瑛太共演『リコカツ』(TBS系)まで目白押しだ。ドラマだけでなく映画でも出演作が途切れることのない綾野剛だが、“ラブコメ”作品への出演は久々でどんな顔を見せてくれるのか楽しみで仕方ないし、映画『友罪』での謎めいた青年役が印象的だった永山瑛太だってそうだ。
ただ、豪華には違いないが、少しだけ既視感が否めなくもない。というのも、『着飾る恋』と同じく金子ありさ脚本の『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)で話題をかっさらった「佐藤健×当時の上白石萌音」や、『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)での「戸田恵梨香×当時のムロツヨシ」といった組み合わせほどのインパクトや意外性には欠けるのは、正直なところではある。
それもそのはず、改めて見てみると『着飾る恋』の川口春奈と横浜流星のみが20代の若手俳優だ。晩婚化が進む今、当然のことと言えば当然のことだが、恋愛作品での主人公もアラサー設定が主流で、主演俳優も30代以上が一般的となり、その分新人の抜擢のハードルは一気に高くなった。綾野剛と永山瑛太は互いに当時30歳前後の頃に『最高の離婚』(フジテレビ系)で共演を果たしており、もう既にその時点で彼らにとっての恋愛ドラマの代表作の1つに巡り合えている。石原さとみは言わずもがな20代の頃に『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ系)、『失恋ショコラティエ』(フジテレビ系)、『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)と多数の恋愛ドラマでヒロイン役を務め、北川景子も同様に『ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜』(フジテレビ系)でのヒロイン役を筆頭に『独身貴族』(日本テレビ系)など、皆20代で自身の代表作となるような恋愛ドラマに恵まれているのだ。
アラサーの筆者としては個人的には同年代の恋愛模様をドラマで覗けるのはありがたいものの、若手俳優からしてみればこのご時世、なかなか20代で“the王道恋愛ドラマ”の主演を飾ることは難しく、新鮮味のあるキャスティングが至難の業になっているのも致し方ないのかもしれない。そもそも女性の社会進出が進み、結婚後の共働きも当たり前になった今、恋愛のみを主軸においた“the王道恋愛ドラマ”自体が成立しづらくなっていることも大きな理由だろう。“生き方”や“働き方”、あるいは“結婚”という形に悩みながら恋愛も進行していく話が圧倒的多数の中、自分の身の振り方を決める岐路に立たされ、今後に悩む主人公を描くには、ある程度の社会人経験等があるお年頃設定になるのは必然で、そこに若手俳優が上手くフィットするかというと如何とも言い難い。