松坂桃李×麻生久美子×井浦新、間違いなしのアンサンブル 『あのキス』壮大な恋愛劇が幕開け

『あのキス』壮大な恋愛劇が幕開け

 主人公・桃地の人生が、巴たちが搭乗した飛行機のように目的地に無事辿り着くと思いきやオーバーランした『あのときキスしておけば』第1話。主人公とヒロインが入れ替わる物語は多々あれど、ヒロインが見知らぬおじさんと入れ替わるという展開は斬新だ。

 そして、それ以上にひとりひとりのキャストが演じるキャラクターが個性的すぎる。松坂は映画『娼年』で演じた会員制ボーイズクラブの娼夫で底知れぬ色気を発揮し、日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞した『新聞記者』ではエリート官僚役で正義感に溢れた男を熱演。そんな様々な役をこなしてきた彼が、本作で愛すべき“ポンコツ男子”を演じている。松坂が演じる桃地はダメダメで頼りないが、どこまでも優しく巴に従順なところが魅力的だ。巴のどんな無茶ぶりにも答え、ご褒美として読ませてもらったまだ世に出ていない『SEIKAの空』の原稿に涙する桃地はわんこにも見えてくる。

 また、昨年『MIU404』(TBS系)で頼れる機動捜査隊長を演じた麻生は本作で正反対ともいえる自分の気まぐれで周囲を巻き込む女王様タイプの女性に。それでも巴に惹かれてしまうのは、麻生の飾らない美しさにカリスマ性を感じさせるからだろう。自信家なのに三浦翔平演じる元夫の高見沢に褒め言葉をねだったり、桃地に讃えられ喜びが隠しきれないギャップにも惹かれる。

 そして何より、そんな巴と入れ替わった田中を演じる井浦の見たこともない姿。実は清掃員としてスーパーゆめはなに出入りしていた頃の田中を演じていた時の井浦は、『アンナチュラル』(TBS系)の中堂役と重なる不貞腐れぶり。今にも「クソが!」というおなじみの一言が聞こえてきそうだ。しかし、麻生と変わり巴を演じている時の井浦はキュートな乙女。見た目に変化はないのに、中身は巴だと確信させられる説得力に驚いた。次週の予告を見る限り、泣き喚いたり、お風呂上がりに身体をバスタオルで隠したりする巴と、そんな見た目はおじさん、中身は大好きな漫画家の巴に困惑しまくりの桃地など、“あのときキスしなかったからこそ”の姿が堪能できそうだ。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。

■放送情報
『あのときキスしておけば』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15〜放送(一部地域で放送時間が異なる)
出演:松坂桃李、麻生久美子、井浦新、三浦翔平、岸本加世子、MEGUMI、猫背椿、六角慎司、阿南敦子、うらじぬの、角田貴志、藤枝喜輝、川瀬莉子、板倉武志、窪塚愛流
脚本:大石静
演出:本橋圭太、日暮謙、YukiSaito
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:貴島彩理(テレビ朝日)、本郷達也(MMJ)
制作:テレビ朝日、MMJ
(c)テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/anokiss/

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