杉咲花×宮澤エマ、心の距離の変化を見せた名芝居 『おちょやん』千代の新たな門出祝う花籠

杉咲花×宮澤エマ、心の距離の変化を見せた名芝居 『おちょやん』千代の新たな門出祝う花籠

 『おちょやん』(NHK総合)第21週「竹井千代と申します」は、千代(杉咲花)が女優として復帰するまでの物語。千代とともに漫才のような掛け合いをした経験が忘れられない漫才師の当郎(塚地武雅)、道頓堀における信頼と千代と当郎の会話を聞きその場から動けなくなった脚本家・長澤(生瀬勝久)と多くの人が千代にラジオドラマへの出演を依頼しにくる。踏ん切りをつけられない千代の心の鎖を解いてくれたのは、自分を必要としてくれる人たちの温かな優しさだった。

 その一人が千代の姪にあたる春子(毎田暖乃)、そして幼い千代を奉公に出し、長年忌み嫌っていたはずの栗子(宮澤エマ)だ。この第21週では長年千代に贈られていた花籠の送り主が、栗子であることが明らかになる。ラジオドラマ『お父さんはお人好し』の最初の顔合わせに向かう千代の新たな門出を祝うように花籠を手渡す栗子。送り主の分からない花籠はどんな時も千代を見てくれている人がいるという心の支えに。戦前から戦後へと時が経ち、千代にとっては「この人も生きてはったんやな」という一方通行の手紙でもあった。

 心を通わせつつもどこか距離のあった千代と栗子が花籠によって、互いに頬を緩める。女優として活躍する千代をこっそり見守っていた栗子は劇場にも足を運び、千代が鶴亀新喜劇の座員として立った最後の舞台も観劇していたのだ。そこで流した涙を見て心配になった栗子はぬれネズミのように雨に打たれる千代を助けた。春子の世話を千代に頼むことで生きる喜びを再び見出させようとしていたのだ。栗子なりの不器用な優しさである。

「こっそりあんたのお芝居見んのがあての生きがいになった。見るたんびに元気貰た。しんどいねやったら役者なんかに戻らんかてええて思てたけど……やっぱり嬉しい。あんたがもっぺんお芝居やるて言うてくれて。あてはあんたのお芝居が大好きやねん。千代、気張ってや。これからもずっと……あんたのこと応援してるさかい」

 継母として、元芸者としてーー様々な立場と思いがあるだろうが、栗子の言葉から溢れているのは、ただ千代の芝居が好きだという真っ直ぐな気持ち。「あんた」から「千代」へと呼び名が変わり、2人を隔てるものはもう何もない。栗子はどんな時も千代を思っていた一番のファンだったのだ。

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