『おちょやん』生瀬勝久、長澤として見せた脚本家の熱い思い 目頭が熱くなる千代の回想も

『おちょやん』生瀬勝久、白熱の芝居

 道頓堀から忽然と姿を消した後、京都で義母・栗子(宮澤エマ)とその孫・春子(毎田暖乃)と3人で暮らし、二度と女優業はしないと心に決めていた千代(杉咲花)。かつて防空壕の中で出会い、戦後はしゃべくり漫才師として人気を博していた花車当郎(塚地武雅)からNHKのラジオドラマで夫婦役を演じてほしいと頼み込まれるも、千代の心は変わらなかった。

 『おちょやん』(NHK総合)104話では、そんな千代に今度は脚本家の長澤(生瀬勝久)が接近する。

 道頓堀で千代の波乱万丈な人生を知り、興味を持った長澤。最初こそ当郎の妻役は人気女優の箕輪悦子(天海祐希 ※ポスターのみの登場)を起用していたいと思っていたが、どうしても気になり千代の家を訪ねたところ、たまたま先客の当郎と千代のかけあいを耳にする。まるで長年連れ添ったような3人の会話と、それを聞いて大笑いする春子の声。その幸せな“音”にラジオドラマの未来を見た長澤は「女優がやる気でないなら仕方ない」と思いつつも、諦めきれず千代に直接会うことにした。

 そこで長澤が千代に語った想い。それはラジオドラマを通じて、戦争で親を亡くし、傷ついた子供たちに生きてさえいれば、人生面白いことが起きると伝えたいという願いだった。栗子が娘夫婦を戦争で失い、一度は命を投げ出そうとした時に春子と出会い、生きる意味を見つけたように。そして貧しかった幼少期を過ごし、父親に裏切られ、一度はひとりきりになった千代も生きていたからこそ、たくさんの人に愛される喜劇女優になった。言葉には出さずとも、千代には「生きてて良かった」と思う瞬間が何度もあったはずだ。

 しかし、力を貸してほしいと頭を下げる長澤の申し出を千代は丁重に断る。芝居をすれば、辛いことを思い出しそうで怖いのだという。当郎のあっけらかんとした振る舞いに救われたように見えた千代の心はまだ完全には癒えていないのだ。長澤はそんな千代を見て引き下がるが、最後に残した一言が千代の頭に残る。

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