泣き笑いの集大成! 『俺の家の話』最終回は親子が死に別れる涙、涙のラストに!?

『俺の家の話』最終回は涙のラストに!?

 『俺の家の話』(TBS系)がついに3月26日放送で最終回を迎える。プレ最終回の第9話では、いきなり時間が進んで2021年12月に。その近未来でも感染症の拡大状況は変わらないらしく、登場人物たちはまだマスクをしていた。人間国宝の能楽師・寿三郎(西田敏行)はグループホームに入っていたが、施設を脱走し観山家に戻ったところで、脳梗塞になり意識不明に。長男の寿一(長瀬智也)は、父の望みどおり自宅で看取る覚悟をした。寿三郎の枕元に子供たちが集まって声をかけたが、それがたちまち心拍数を上げるための大喜利に。半年ぶりに集合した観山家の面々は、相変わらず騒々しい愉快なファミリーだった。そして、危篤状態となった寿三郎をこの世に呼び戻したのは、寿一が覆面レスラーの“スーパー世阿弥マシン”だと告白してからの「肝っ玉、しこったま、さんたまー!」というプロレスの掛け声。「俺の家で一度だけ、紛れもない奇跡が起こったんだ」と語る寿一。泣き笑いのピークとなったシーンは感動的だった。

 この回は、脚本の宮藤官九郎らしい小ネタやパロディも満載。週刊誌『FRIENDLY』で観山家の後継者問題がネタとなり、お昼の情報番組『ひるおび』にも取り上げられて世間の話題に。そういえば、実際に能楽狂言師のお家騒動がワイドショーを賑わせたことがありましたね(しかもその狂言師はプロレスラーにもなったし、父親は人間国宝だった)。寿一の妹・舞(江口のりこ)は週刊誌の見出しの付け方がおかしいと文句を言い、寿三郎が危篤状態になると、寿一に「もっと取り乱してよ、若い頃の織田裕二のように」と無茶振りをする。江口のりこのキレキレの演技が笑いを誘った。

 また、分家当主の万寿役でムロツヨシが出演。主人公のライバルとしては唐突な登場になったが、プライドの高い切れ者といった感じの万寿はハマり役だし、『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)以来の戸田恵梨香(さくら役)との再共演という楽しいおまけ付きだった。

 爆笑ものだったのは、さくらが寿一の元妻ユカ(平岩紙)と話すシーン。ユカの新しい夫(前原滉)は生まれてきた赤ん坊のために育児休暇を取得中で、始めは「いいダンナさん」とうらやましがっていたさくらだが、夫が働かず家にいて家事をしているという状況は自分には無理だと遠慮なしに言い放つ。ユカが「何回『無理』って言うの?」と突っ込んでいたが、正解は8回。さくらが言ったように、男性が育休を取って妻と一緒に子育てをするというのは「今の時代に合っている」望ましい夫婦の形なので、これを否定するセリフはなかなか書きづらいもの。女性の脚本家でも書けないようなセリフでポリティカル・コレクトネスと現実の乖離を描き出し、笑いにしてしまうクドカン、改めて恐るべしである。

 泣き笑いが盛りだくさんだった第9話だが、最終話に向けて重要となるのは、寿三郎が施設を出て観山家に戻り、能の稽古をしていた寿一と静かに話すシーンだったのではないか。「家は家にあらず。継ぐを持って家となす」という世阿弥の言葉を告げる寿一。つまり家とはただ代々続いているから家なのではなく、継ぐべきものがあるから家になるという意味で、この場合は能楽の芸を親から子へ伝えていくことを意味している。タイトルが『俺の家の話』だけに、これは結末につながるキーワードになりそうだ。

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