泣き笑いの集大成! 『俺の家の話』最終回は親子が死に別れる涙、涙のラストに!?

『俺の家の話』最終回は涙のラストに!?

 さらに、気になるのは、第9話で張られた伏線の数々が“寿三郎の死エンド”ではなく、“寿一の死エンド”を匂わせていること。寿一の師である長州力(本人役)が観山家に来て寿三郎ではなく寿一の戒名を付けた。レスラー名“ブリザード寿”にかけた戒名は「吹雪院親不孝革命居士」。寿一はそれを「いいですね」と認めてしまった。また、世阿弥の遺した「離見の見」という自分を客観視する概念が出てきて、プロレスラーの寿一と能楽師の寿一が分身のように同画面に現れた。ラストシーンで引退試合に挑んだ寿一は、レスラー仲間に対戦相手のことを「プロレス愛がないし、キレるとヤベえから(気をつけて)」と忠告されても「大丈夫だよ」と言う。そして、リングに向かっていく後ろ姿をもうひとりの自分である能楽師の寿一が見守る。まさか、その試合で寿一が致命的なダメージを受けることに!?

 そして、新春能楽会で寿一が舞う演目「隅田川」は、母(親)が誘拐されて死んでしまった子を悼み、嘆き悲しむ物語だ。念仏を唱える母親の耳に子の声が聞こえてくるが、幽霊となった子を抱きしめようとしても抱きしめることはできないという狂女もの。寿一と寿三郎がこの演目について話し、寿一は自分が死んだ子供の立場だったら「出てくるよ。だって会いてえもん」と言って、寿三郎を笑わせていた。もしかして、本当に寿一が寿三郎より先に死に、幽霊として出てくるようなラストになってしまうのだろうか。そんなふうに悲観的な予想をすると、介護支援専門員・末広(荒川良々)のように「見逃してない? 伏線。回収して、伏線!」と言いたくもなる。

 末広は「泣いても介護、笑っても介護」という名言も残しているが、さて、泣いても最終回、笑っても最終回。3月末でジャニーズ事務所を退所する長瀬は、本当にこれで役者としてはしばしの見納めになるのか。そんな節目とシンクロして劇中でも寿一がみんなの前から去っていってしまう展開になるのか。その瞬間を正座待機して迎えたい。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
金曜ドラマ『俺の家の話』最終話
※15分拡大スペシャル
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:長瀬智也、戸田恵梨香、永山絢斗、江口のりこ、井之脇海、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、羽村仁成(ジャニーズJr.)、荒川良々、三宅弘城、平岩紙、秋山竜次、桐谷健太、西田敏行
脚本:宮藤官九郎
演出:金子文紀、山室大輔、福田亮介
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:勝野逸未、佐藤敦司
編成:松本友香、高市廉
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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