『おちょやん』成田凌の不器用すぎる一平が愛おしい “母”のように一座をつなぐ千代の姿も

『おちょやん』不器用すぎる一平が愛おしい

 新しい一座の名前は、“鶴亀家庭劇”。家庭という名前には、家族みんなで笑えて明日も頑張ろうと思えるような芝居を作りたいという一平の願いが込められている。早くに両親を亡くした一平にとって、初めての家庭になる場所。家族とも言える仲間たちが全員笑顔で旗揚げ公演に向けて動き出す――と思いきや、千之助が一平の書いた台本を却下するというまたしても雲行きの怪しい展開に。だが、人生も喜劇も悲しみと喜びの連続だからこそ面白い。怒涛の展開が続き、私たちを飽きさせることのない『おちょやん』の面白さもそこに理由がある。

 今週、千代はまるで一座の母のようにバラバラだった一平たち天海一座の人たちをまとめ上げた。気になるのは、何かと縁の深い千代と一平の今後。第44話で「鼻歌は辛い時に歌うもんやろ。歌っているうちに元気になる」と何気なく言った一平の言葉は、まるで千代の存在を表しているようだった。表情がコロコロと変わり、どんな悲劇に見舞われても持ち前の明るさで乗り越えていく。一平にとって、千代は見ているだけで元気になれる“喜劇”を体現しているような女性なのかもしれない。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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