大川良太郎、大塚宣幸、渋谷天笑 『おちょやん』星田英利率いる天海天海一座の男たち

『おちょやん』天海天海一座の男たち

 現在放送中の連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合)を盛り上げた人気喜劇一座の天海天海一座。第4週では、初代・天海天海(茂山宗彦)の亡き後、息子の一平(成田凌)と須賀廼家千之助(星田英利)が率いる天海天海一座が久しぶりに道頓堀で芝居を行うことになる。ヒロイン・千代(杉咲花)の今後にも影響を与えていくであろう、人を笑わせることに全力な彼らの魅力を紹介したい。

天海天海一座を率いる喜劇界のアドリブ王、須賀廼家千之助

 千之助は、一平の父、天海天海と喜劇一座を率いていた男であり、日本でいちばんおもしろいのは自分という自負がある。千代の父・テルヲ(トータス松本)にぶつかられ、突っかかるテルヲに対して彼が発した台詞は「死ぬまで笑かしたろか、コラ」だった。千之助の食ってかかる表情から感じとれる力強い圧と「笑かす」という台詞のギャップに思わず笑ってしまった。

 千之助を演じる星田英利は、2018年に吉本興業の俳優部に移籍。移籍前から多数のドラマや映画に出演しており、朝ドラには、2012年放送の『カーネーション』、2015年放送の『まれ』にも出演している。

 今一つ芝居に身が入っていない一平と衝突を繰り返し、酒の席では千代に「お前に喜劇の何が分かるっちゅうねん」と絡み、ライバルである須賀廼家万太郎(板尾創路)一座の看板の前に立つと「満員御礼」の札を荒々しく剥ぎとるなど、破天荒でトラブルメーカーな一面が覗く千之助。だが、それらはすべて笑いに命を賭けているからこそ。彼の言動には圧があり、時に人を萎縮させるほどだが、観ている視聴者には彼の笑いへの情熱がひしひしと伝わってくる。

 笑いに命を懸ける千之助と一平の間には温度差があり、2人のやりとりにはハラハラさせられたが、彼は彼なりに喜劇への情熱を一平に伝えたかったのではないだろうか。

その名に反して雨男? 須賀廼家天晴

 天晴を演じる渋谷天笑は松竹新喜劇の団員であり、平成29年9月公演より二代目渋谷天笑を襲名。松竹新喜劇の公式ツイッターでは、元旦から始まる南座公演へ向けて稽古に励んでいる様子が発信されている。劇団きっての若手二枚目俳優として、今後も注目の俳優だ。

 初代・天海天海の時代からの座員で、一座のまとめ役を担っている。彼の朗らかな表情と度々起こる千之助と一平の衝突をなだめる姿が印象的だ。須賀廼家万太郎一座に比べて客足が遠のいている現状に「初日はこないなもんやろ」「うちかてよう入ったほうや」と、座員の士気が下がらないような言葉をかける姿からは、彼の穏やかな人物像が感じとれる。

 須賀廼家徳利とのやりとりで、その名に反して雨男であるエピソードが明かされた天晴だが、第19回で急遽舞台に上がり、最後まで舞台に立ち続けた千代にかけた「人生 “雨のち晴れ” や」という台詞は、天海天海一座の舞台に立ち続け、一座と一座を率いる彼らの情熱を見続けてきた天晴にしか口にできない見事な台詞である。この粋な一言にSNS上では「天晴さんかっこいい」「惚れるわ」と声があがっていた。

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