若葉竜也演じる小暮にもどうか幸あれ! 『おちょやん』鶴亀撮影所篇が終了
千代(杉咲花)に再び辛い現実が突きつけられた『おちょやん』(NHK総合)第8週。父・テルヲ(トータス松本)の度重なる裏切り、撮影所の仲間たちに突きつけられたクビと、「いつ自分も撮影所を追い出されるかわからない」という不安。そこにきて、夢を諦め実家に帰ることを決意した初恋の相手・小暮(若葉竜也)からのプロポーズ……。
悩み苦しむ千代に、一平(成田凌)は「お前の苦しみはお前にしかわからへん」と厳しい言葉を投げかける。だが、それは真実かもしれない。千代が父親との関係において抱える葛藤を小暮が理解しきれないように、誰一人として同じ苦しみを共有することはできないのだ。
それでも芝居を通して、他人の苦しみが少しだけわかるかもしれない。自分の苦しみを少しだけわかってもらえるかもしれない。その先にはきっと、光があると信じて――。
撮影所の所長(六角精児)が千代に告げた、「役者道とは、常に一人で行くもんや。孤独との壮絶な戦いや」という言葉にもそういった意味合いがあったのだろう。
そして、千代は「やっぱり女優を続けたい」と小暮のプロポーズを断った。そんな千代の本音を小暮はどこかで知りながら、上手くいかない自分を慰めてほしかったのかもと語る。一方で、小暮は「映画に主役にしてあげられなかったから」とカフェーで苦手なお酒をたくさん呑み、千代をビール月間で一等にしていた。
感情を自分だけのものとして大切に扱う一平に対し、小暮は他人を理解しようと努め、喜びも悲しみも分け合おうとする。それが小暮の弱さであり、優しさだ。どちらが良い悪いではなく、女優という道を歩まんとする今の千代にとって必要だったのは一平の言葉だった。底抜けに優しい小暮にも、どうか、彼の手を取って共に歩んでくれる誰かが現れてほしい。