新春は韓国産ゾンビ作品がうってつけ? 『#生きている』『キングダム』など話題作を一挙紹介
韓国ゾンビ時代劇を堪能したいならNetflix『キングダム』
さて、『王宮の夜鬼』の世界観がハマった人におすすめしたいのがNetflixオリジナルシリーズ『キングダム』。実はこの2作、監督が同じキム・ソンフン。つまり、2018年の『王宮の夜鬼』は2019年より開始した『キングダム』のプロトタイプのようなもの。2時間の映画内に収めきれなかった、民と貴族の貧困、政治問題などのディテールを『キングダム』ではしっかり回収しています。そのため、本作はどちらかというとアクションよりストーリーに比重が置かれている。とはいえ、ゾンビシーンはさらにレベルアップしているという、美味しい作品。
後妻の王妃が妊娠したことで、側室の子の世子、つまり次の王になることを約束されたチャンの立場がなくなる。そして反逆者として指名手配までされてしまうのですが、一方で街の寂れた病院ではパンデミックが発生し……。本作でも王室の跡取り問題が中心となって進んでいくわけですが、シーズンごとに全6話で物足りないぐらい見やすい! とにかくクオリティの高さとテンポの良さ、スケールの大きさが桁違いの韓国産ドラマ。国を代表する大物女優ぺ・ドゥナが出演していること、そして衣装やセットの豪華さにも注目なシリーズです。現在シーズン2までNetflixで独占配信中。
コロナ禍にぴったりのゾンビ映画? Netflix『#生きている』
Netflixオリジナルで言えば2020年に公開された映画『#生きている』も、新鮮なゾンビ映画でした。主人公がある日眠りから覚めたら、世界はパンデミックがすでに発生していた。いつものようにご飯のお金を置いていったお母さんや、家族の安否もわからないままテレビで状況を知っていく。外は疫病が蔓延していて、“ステイホーム”を余儀なくされるという、まさにコロナ渦の人々の暮らしを反映した設定がタイムリー。家に立てこもってはいたものの、徐々にネットやスマホは使えなくなり、食料も減り、水道も止まってしまう。ライフラインが絶たれた中で、絶望して死のうとする彼が同じマンションに生存者を見つけたことで希望を取り戻し、なんとか脱出して生き延びようとするサバイバル映画です。
この映画の魅力はなんといっても、主人公の親近感と現代性。仮に私たちの今生きている世界でゾンビが発生し始めたら、こんな風になっていくのだろうなというリアリティ、そしてこの年の男の子だったらこういう生き延び方をするだろう、という説得力が群を抜いてある作品です。展開もスピーディーで、登場人物がごく僅かなのにも関わらず(ゾンビは例のごとくめちゃくちゃいます)飽きないシンプルなストーリーが魅力的。スマホ世代は必見、見終わった頃にはキャンプ用品一式を買い揃えておきたくなること間違いなし。
新春、自分の部屋という安全圏でゾンビ映画を観て楽しんでいたら、「やけに外が騒がしくなってきたな」という展開になるかもしれません。そんな時は慌てず、祭囃子か新春セールに群がる群衆か、それとも血肉に群がる群衆かの判断をつけて、落ち着いた行動をとりましょう。
■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。今年こそ築地で朝ごはんを食べたい。Instagram/Twitter
■配信情報
Netflix映画『#生きている』
Netflixにて独占配信中
監督:チョ・イルヒョン
脚本:マット・ネイラー
出演:ユ・アイン、パク・シネ