杉咲花演じる千代が見つけた“帰る場所” 『おちょやん』希望に満ち溢れた道頓堀編の千秋楽

『おちょやん』希望に満ち溢れた道頓堀編

 ちょっと涙がこぼれて、最後にはみんなで笑える。そんな喜劇のような一週間だと思った。

 2020年の本編ラスト放送となる、NHK連続テレビ小説『おちょやん』第4週。千代(杉咲花)は、父・テルヲ(トータス松本)がこしらえた借金のせいで芝居茶屋「岡安」の人たちに迷惑をかけないように道頓堀を去る決意をした。

 ちょうど道頓堀にやってきた天海天海一座の千秋楽公演にひょんなことから出演し、良い思い出ができたと強がる千代。年季明けのお祝いには、岡田家の一員としてご寮人のシズ(篠原涼子)たちと共に食卓を囲むことを望む。幼い頃に母を亡くし、挙句にはテルヲと義理の母に家を追われた千代にとって、“帰る場所”をくれた彼らと家族のようなひと時を過ごせることが何よりの幸せなのだろう。しかし、岡安の女将として店と客のみならず、女中たちを守ってきたシズが黙って千代を送り出すはずがない。強かなシズは裏で手を回し、密かに千代を借金取りから逃す計画を立てていた。

 みんなに言われるがまま、岡安を後にした千代は女中頭のかめ(楠見薫)やお茶子の仲間としっかり別れを告げることもできない。ただ、千代を連れ出したみつえ(東野絢香)とは最後に“友達”として抱き合い、離れることができた。普段は嫌味を言いながらも、身一つで千代を守ろうとするみつえや、偏見なく接してくれた千代に恩を返そうと借金取りに飛びかかる乞食のおっちゃんたちの姿に胸が締め付けられる。千代が9歳の頃にたった一人で道頓堀に来た時はあんなに孤独を感じていたのに、今ではすっかり町の人気者になっていたのだ。

 千代が逃亡の舟着き場に到着すると、そこには先回りしていたシズが待っていた。

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