波瑠と松下洸平が向き合った“わかり合う”こと 『#リモラブ』が人々に宿した温もり

『#リモラブ』が描いた“わかり合う”こと

 誰かを完璧に理解することなんてできない。そんなことは誰もが分かりきっているだろう。でも本当に大切な人のことは、限りなく完璧に理解したいと思ってしまう。それは美々(波瑠)も青林(松下洸平)も同じだ。『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』(日本テレビ系・以下『#リモラブ』)の最終話では、衝突していた2人が「わかり合う」ことと向き合う。

 思えば『#リモラブ』の登場人物はみんな不器用だ。五文字(間宮祥太朗)は会社に馴染めず退職しようとしていたし、我孫子(川栄李奈)は恋人がいながらセックスフレンドを作ることがやめられない。富近(江口のりこ)は必要以上に相手に踏み込まないし、美々は言いたいことをはっきり伝えられず、自分の中で消化してしまう。そして青林は、相手の気持ちを察するのが下手だ。それでも、この作品の登場人物たちは愛しく、魅力たっぷりで生き生きとしている。それは彼らが、ちゃんとお互いを尊重し「わかり合う」ための努力を怠らないからではないだろうか。

 美々と青林が、最後まで2人の問題に向き合ったように、富近や我孫子もそれぞれが持論を持ち、自分の人生において自分なりの答えを持って生きている。時にその答えに対して、予想外の反応がくれば、また再考して新しい価値観にアップデートしているのだろう。大切に想う人を「大切」にする過程で、自然とそういうアプローチができる真っ直ぐな人たちを描いたからこそ、『#リモラブ』は人々の心にふんわりと温かい光を宿すことができたのだ。

 コロナ禍の世界を描いた本作は、恋愛における“濃厚接触”も極限まで減らし、美々の一人芝居も多かった。しかしSNSを通じて描かれる真っ直ぐな言葉のやりとりや、何気ない会話の端々から「人が人と接している」ことの温かさを感じ取れる。その集大成として描かれたのが、美々と青林がすれ違いから徐々にまた距離を縮める場面なのだろう。

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