今牧輝琉を筆頭に舞台『新テニスの王子様』で輝く若手俳優たち テニミュの歴史を感じる演出も

 12月12日、ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stageが東京・日本青年館ホールにて開幕した。

 本公演は、許斐剛による漫画『テニスの王子様』の続編『新テニスの王子様』を実写化した舞台。前者は通称“テニミュ”として、1stシーズンが2003年から2010年、2ndシーズンが2011年から2014年、3rdシーズンが2015年から今年11月まで約17年間にわたって上演されてきたが、『新テニスの王子様』がミュージカル化されるのは今回が初となる。

 初日公演から1週間が経ち、すでに“新テニミュ”として話題沸騰中の本公演。物語は青学テニス部が優勝を果たした全国大会の後、中学生たちが高校日本代表候補・U17(アンダーセブンティーン)の合宿に招待されるところから始まる。そこに待っていたのは、圧倒的な実力を持つ高校生たちと一筋縄ではいかない個性的なコーチ陣だった。

 会場が暗転すると、聞こえてきたのはテニミュお馴染みの打球音。ファンにとって一番高揚感を得られる瞬間だが、今回はよく耳を澄ますと普通の打球音の中に必殺技が放たれた音が聞こえる。このちょっとした変化が、新たな時代の幕開けを予感させた。

 全国大会の3日後に姿を消し、渡米した主人公・越前リョーマも招待を受けて帰国。原作の第1巻で描かれるリョーマの登場シーンも、プロジェクションマッピングなどを駆使して再現された。演じるのは、今牧輝琉。彼は幼少期からダンスを習い、劇団四季出身の藤川和彦が立ち上げたミュージカルスクールの生徒だったこともあり、動きがとてもしなやかだ。一方でまだ中学生という設定に違和感のないあどけなさも残り、生意気そうに笑う表情が原作のリョーマとよく似ている。カーテンコール後の挨拶も一生懸命で、今後もリョーマと共に成長していく彼を観客も応援したいと思ったのではないだろうか。

 そんな今牧のほか、中学生組には手塚国光役の山田健登や、切原赤也役の前田隆太朗など、フレッシュな顔ぶれが並んだ。かつてはライバルだった他校の生徒同士が絆を深め、プロ並みに強い高校生や無理難題を課してくるコーチたちに立ち向かっていく姿が心を震わせる。一つひとつの試合も見応えがあり、再現不可能とされていた赤也の「天使化」や氷帝学園・跡部景吾の「跡部王国」なども照明や映像を使った巧みな演出で原作通りに展開していく。

 特に注目すべきは、青学の部長・手塚vs大和祐大、氷帝学園の跡部景吾vs入江奏多の試合。大和を演じる松島勇之介、東京公演・大阪公演で入江役を務める泰江和明はもちろん、手塚役の山田、跡部役の高橋怜也も圧倒的な歌唱力でチームメンバーを率いてきた部長としての説得力をもたせる。何よりもまっさらな状態の新曲をしっかりと自分のものとして披露する姿から、手塚・跡部のテニスを愛する心が伝わってきた。

 そんな2人のプライドを実力の差でへし折りながらも、その後の進むべき道を照らしてくれる松島と入江の包容力。「地獄の番人」として恐れられている鬼十次郎役の岡本悠紀や、合宿で脱落した生徒をスパルタ指導で鍛え上げる裏コーチ・三船入道役の岸祐二も初日とは思えない安定感で、中学生役のキャストたちを先導していく。とりわけ岸は帝国劇場の『レ・ミゼラブル』や『エリザベート』に出演経験があり、彼が歌う場面は2.5次元ミュージカルという枠を超えた重厚感で観客を圧倒させた。岸の出演がテニミュの歴史を大きく変えるといっても過言ではないだろう。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる