「2.5次元」と「漫画実写化」は何が違う? 2.5次元ドラマ『男水!』の演技を考察

漫画実写化と2.5次元の違いに迫る

 現在、日本テレビで土曜深夜に放送されているドラマ『男水!』は、「花LaLa online」で連載中の漫画が原作で、同時に同じキャストでの舞台化も決定しているプロジェクトである。

 出演しているのは、松田凌、宮崎秋人、安西慎太郎、赤澤燈、佐藤永典、小澤廉、黒羽麻璃央、池岡亮介、神永圭佑、廣瀬智紀といった、若手俳優たち。彼らに共通しているのは、『ミュージカル・テニスの王子様』や、舞台『弱虫ペダル』、『あんさんぶるスターズ! オン・ステージ』、『おそ松さん on STAGE』、『ミュージカル刀剣乱舞』など、所謂「2.5次元」と呼ばれる人気の舞台で活躍してきたことだ。

  しかし、現在ではよく見かけるようになった「2.5次元」という言葉の定義はあいまいだ。漫画、アニメ、ゲームなど、2次元を原作にしたものなら、なんでも2.5次元というのかと思いきや、山﨑賢人が主演するような少女漫画原作のラブコメディドラマや映画、大泉洋が主演するような漫画原作映画が、厳密には「2.5次元」の範疇にあるとしても、わざわざ「2.5次元」という言葉とともに語る人はあまりいないのではないだろうか。

 では、現在、一般的に使われている「2.5次元」とは何なのか? ということを考えたとき、この『男水!』はその答えを明確にしてくれる気がする。

 多くの「2.5次元」の俳優に取材をすると、ストレートプレイの演劇やドラマや映画などで演じるときの芝居と、「2.5次元」で演じる芝居の方法は違うと語る。「2.5次元」で俳優が意識せざるを得ないのは、先にアニメ化されているときに自分の役を演じている声優の声の出し方であるという。もちろん、そのまま真似してもいけないが、そこからまったく離れた声を出しても、原作ファンの期待を裏切ってしまう。そして、「2.5次元」というのは、アニメの中での会話のような、独特の声の出し方や間というものを、演技に取り入れているものを、現在は総称しているのではないかと思う。

 しかし『男水!』は、漫画原作ではあるが、アニメ化はされていない。にも拘わらず、俳優たちは、まるでアニメの中で語られるような声で演技をしている。実は、アニメ化よりも先に舞台化される作品もあれば、すでにアニメ化されている原作の舞台であっても、アニメの中にはまだ出てこないキャラクターを俳優が初めて演じることがある。俳優が考えたそのキャラクターの声が、「オリジナル」の声になる場合もある。この『男水!』も、俳優たちが、オリジナルの声を作っているのだ。

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