劇団EXILE 秋山真太郎、リーダーとして後輩たちの規範に 脚本家・作家としても光る構成力

秋山真太郎、脚本家・作家としても光る構成力

 秋山の多様な仕事と言えば、映画プロデューサーのほかにも、2019年の4月に作家として『一年で、一番君に遠い日。』を出版したことが挙げられるだろう。LDHでは初の小説家デビューとなった。もともとは、『ショートショート大賞』第1回アンバサダーを務めたことをきっかけに小説の執筆を開始したというが、それから3年に渡って書き続けた結果が、一冊の本となったのだ。

 本を読んでみると、思いもつかないようなさまざまな出来事が起こるのだが、不思議と映像が浮かぶような作品が多い。秋山自身も「セリフに関しては、自分や誰かが実際に口にしたらどうなるんだろうと、脚本を書くときと同じような想像の仕方で書きました」とも語っている。また、ときに劇団EXILEのメンバーからアイデアの元になる単語をもらったりしながら書き進めたのだという。

 そんな中でも、秋山自身が演じたら面白いのではないかと思うようなものもあった。『Sleep no more』という作品には、40歳前後の妻に頭の上がらない、ちょっと疲れたサラリーマンが出てくる。インタビューをした当時、秋山は、『Sleep no more』のこのサラリーマンのことを、「年齢的には自分に合う役柄だと思います。ただ、僕が見た目がシュっとしてるので(笑)、書く時は違う人を想像していました」とは語っていたが、『勇者のために鐘は鳴る』のサラリーマンのY崎を観たあとには、こうした役も自然とできるようになってきたのではないかとも思えた。

 LDHでは、年齢を重ね、先輩になっていくのと同時に、プレイングマネージャーのような役割を模索している者が多い。秋山もそんなひとりではないだろうか。彼の小説『一年で、一番君に遠い日。』を読んでみても、アイデアや発想の豊かさが伝わってきた。今後も、秋山自身のことも、そして劇団のメンバーや、そのほかのアーティストたちにも焦点をあてていくような企画や発想を次々と生み出し、そしてそれを実際にまとめあげていってくれるのではないだろうか。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

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