劇団EXILE 小野塚勇人、『共演NG』豊役でさらなる飛躍へ “日常”と“焦燥感”を体現できる役者に

小野塚勇人、『共演NG』豊役でさらなる飛躍

 ドラマ、映画、CM、舞台と幅広いステージで活躍を続けている劇団EXILE。本稿では、劇団EXILEのメンバー一人ひとりのフィルモグラフィをたどりながらその魅力を分析。第1回目は、『共演NG』(テレビ東京ほか)出演中の小野塚勇人について紹介していく。(編集部)

 現在、テレビ東京ほかで放送中の『共演NG』に出演している小野塚勇人は、2010年に行われた「VOCAL BATTLE AUDITION 2」「第3回劇団EXILEオーディション」などに参加し、それをきっかけに数々の舞台に出演。2012年に劇団EXILEに加入した。

 劇団EXILEへの加入のきっかけとなった方南ぐみ×劇団EXILEの舞台「あたっくNo.1」は、2006年に初演され、その後もLDH所属のアーティストや若手俳優などが何度も出演してきた作品。小野塚は、2012年と2013年に出演。当時のことをリアルサウンド映画部のインタビュー(参考:劇団EXILE 小野塚勇人×八木将康、同期として切磋琢磨する日々 「互いに成長できる関係でいたい」)でも「方南ぐみの舞台を経てLDHに入れてもらったので、そこでの経験が基礎になっていると思います」と語っているように、確実に転機となった作品だろう。

 テレビドラマでは白濱亜嵐や劇団EXILEが多数出演の『シュガーレス』(日本テレビ系)などで経験を積んでいく。2015年には映画『丑刻ニ参ル』で初主演を果たす。

 小野塚が演じたバイトをしながら脚本家を目指している主人公・健二は、彼女と同棲している。その彼女は「自分のせいで脚本がうまく書けないのではないか」と考えている。そんな彼女に対して普段は優しいが、イライラを募らせてたりもする中で、健二は脚本のヒントになればという気軽な動機で丑の刻参りの現場にむかってしまう。“丑の刻参り”がテーマで、「主人公が劇中の70%は走っている」というふれこみもあったが、むしろそこに至るまでの生活のリアリティがしっかりしていて見入ってしまった。小野塚の何かどうにもならない焦燥感を演じる姿が印象に残った。

 同じ年、『HiGH&LOW~THE STORY OF S.W.O.R.D.~』(日本テレビ系)がスタートする。小野塚は、裏社会を支配する九龍グループの家村会の構成員から幹部に昇格したキリンジを演じた。キリンジは、組織の中では「若いの」に入るが、幹部が頼るのは、彼と同世代の二階堂(橘ケンチ)やノボル(町田啓太)。彼らにライバル心をむき出しにする表情が印象に残った。小野塚曰く、キリンジは「小物感」を大切にして演じた(参照:SPICE「『仮面ライダーエグゼイド』小野塚勇人インタビュー 九条貴利矢のルーツと「楽しんでもらえる商品」としての俳優像を語る」)とのことで、キリキリと何かに追い立てられ余裕のない姿に、その「小物感」がよく表れていると感じたし、ここでもやはり、焦燥感をよく演じていた。

 2016年からは『仮面ライダーエグゼイド』(テレビ朝日系)に九条貴利矢/仮面ライダーレーザー役で出演。EXILE TRIBEとしては、初めての仮面ライダー入りであった。赤い革ジャンに花柄のシャツ、サングラスで、クールというよりニヒル、そして同時にポップな感じのライダーが新鮮で独特の存在感があった。当初はある理由から嘘をついているということもあり、しかしそこには理由があったという、奥の深いキャラクター。これがEXILE TRIBE流の仮面ライダーなのか、というものを見せつけた。

 仮面ライダーレーザーは、宝生永夢/仮面ライダーエグゼイド(飯島寛騎)との熱い関係性を築くも、第12話で戦いに負けて消滅してしまい「貴利矢ロス」という言葉が生まれたほどだった。雨の中、相手にすがりつき、無念を感じつつも永夢に夢を託す貴利矢の姿を見て、「貴利矢ロス」の声が多かったことにも納得した。その後、第35話で再び登場するのだが、今度は黒革ジャン姿で敵役として復活。ひとつの作品で多面的な姿を見せた。

 近年は、映画『恋のしずく』や『最初の晩餐』、ドラマ『橋田壽賀子ドラマ 渡る世間は鬼ばかり 3時間スペシャル2019』(TBS系)などにも出演。日本の日常を描いたドラマの中に自然に溶け込む力という意味では、劇団EXILE随一なのではないかとも思える。

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