『千と千尋の神隠し』はいかにして興行収入300億円を突破した? 公開当時を振り返る

『千と千尋の神隠し』公開当時を振り返る

 近年のアニメ映画では週替わりで特典内容が変わる入場者プレゼントを用意して、観客を繰り返し劇場に呼び込む宣伝方法が採られているが、『千と千尋の神隠し』が上映されていた頃は、こうした週替わりプレゼント企画がなかった。何度も映画館に足を運んだ観客は、純粋に作品への興味で自らリピーターになったといえる。映画宣伝の手法は、テレビが庶民の娯楽だった時代と、ネットが発達した現代とでは大きく様変わりしているので、どの時代の宣伝方法がベターなのかという結論は出せないし、どちらが良い悪いという分け方もできない。映画館の館数も、入場料金も、口コミが広まってゆくフローも、時代とともに変わっているからだ。

 日本国内の歴代興行収入ランキングに目を移すと、2位の『タイタニック』から4位の『君の名は。』までは260~250億円ぐらいで固まっており、1位の『千と千尋の神隠し』308億円は、やはり頭ひとつ抜けている感がある。いかにして260億円の壁を突破して300億円に手が届くかというあたりが、今後の爆発的ヒット映画の注目の的となるだろう。

■のざわよしのり
ライター/映像パッケージの解説書(ブックレット)執筆やインタビュー記事、洋画ソフトの日本語吹替復刻などに協力。映画全般とアニメを守備範囲に細く低く活動中。

■作品情報
『千と千尋の神隠し』
原作・脚本・監督:宮崎駿
プロデューサー:鈴木敏夫
音楽:久石譲
主題歌:木村弓
声の出演:柊瑠美、入野自由、夏木マリ、内藤剛志、沢口靖子、上條恒彦、小野武彦、菅原文太
(c)2001 Studio Ghibli・NDDTM

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