『危険なビーナス』『浅田家!』で“地味”な男に 妻夫木聡の“滋味あふれる演技”を堪能

妻夫木聡が作品に与える“滋味”

 ところで、妻夫木が連ドラで主演を務めるのは、『若者たち2014』(2014年/フジテレビ系)ぶりのこと。それ以前に連ドラ主演を務めたのは、2005年の『スローダンス』(フジテレビ系)だ。この9年の間に妻夫木は、『天地人』(2009年/NHK総合)にて大河ドラマ主演を果たすなどしながら、規模の大小やジャンルを問わず、さまざまな映画作品に出演。NODA・MAP作品『キル』(2007年)、『南へ』(2011年)、『エッグ』(2012)などで舞台を踏み、確実に俳優としての幅を広げてきた印象である。この動きは、30代でのキャリア形成を視野に入れてのことだったのではないだろうか。

 そして、6年ぶりに連ドラ主演となった『危険なビーナス』。この間には、映画、舞台、単発ドラマと柔軟に作品にフィットし、連続ドラマW『イノセント・デイズ』(2018年/WOWOW)では企画にも携わっている。いまはやはり、40代でのキャリア形成を視野に入れているのだろうか。

 ともあれ、まずは『危険なビーナス』である。ちょうど最終回あたりに、妻夫木は40歳を迎えることになりそうだ。『浅田家!』に続く地味な男の“滋味あふれる演技”を、まずは堪能していきたい。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
日曜劇場『危険なビーナス』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、吉高由里子、ディーン・フジオカ、染谷将太、中村アン、堀田真由、結木滉星、福田麻貴(3時のヒロイン)、R-指定(Creepy Nuts)、麻生祐未、坂井真紀、安蘭けい、田口浩正、池内万作、栗原英雄、斉藤由貴、戸田恵子、小日向文世
原作:東野圭吾『危険なビーナス』(講談社文庫)
脚本:黒岩勉
プロデューサー:橋本芙美(共同テレビ)、高丸雅隆(共同テレビ)、久松大地(共同テレビ)
演出:佐藤祐市、河野圭太
製作:共同テレビ、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kikenna_venus/
(c)TBS

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