オリジナルドラマ増加のきっかけに? “お金”をテーマに据えた『カネ恋』の誠実さ

オリジナルドラマ増加のきっかけに? “お金”をテーマに据えた『カネ恋』の誠実さ

 TBSの火曜ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』は、宮藤官九郎の『監獄のお姫さま』以来の同枠でのオリジナルドラマである。

 本作のテーマのひとつには、タイトルにもあるように、お金の使い方がある。ヒロインの九鬼玲子(松岡茉優)は、無駄な浪費を抑えながらつつましく暮らしている。それはケチというのではなく、お金を大切にしながら生きているということだろう。1週間の仕事が終わり、土曜日の午前中に好きなお菓子を買い、ひとりでそのおいしさを堪能する姿からも、誰の考えにも流されず、自らの心地よい生き方を追求している様子が見て取れる。

 玲子の周りの人たちにも、お金に対してどんな風に考えているかが描かれている。玲子と同じ経理部に配属される猿渡慶太(三浦春馬)は、玩具メーカーの御曹司で、お金に不自由したことがなく、浪費家だ。玲子が長年欲しかったお皿を、何の気なしに買って、そのまま失くしてしまうようなところがある。

 また、玲子や慶太の同僚・板垣純(北村匠海)は、実家の家計も苦しく、奨学金もかかえているため、デートのときですら、お金の使い方で頭がいっぱいのドケチ男子だ。だが、玲子の価値観とは近いものを持っている。

 一方、玲子が長年、憧れ続けたファイナンシャルプランナーの早乙女健(三浦翔平)は、お金の専門家である。

 また、慶太の元恋人で、金銭感覚の違いから慶太と別れ、ベンチャー企業の社長と婚約、しかしその婚約者とも破局する聖徳まりあ(星蘭ひとみ)も気になるところである。

 これらのお金の考え方の違う登場人物たちが交わることで、現代のお金への考え方が見えてくるドラマになったように思う。そして、考え方の違う登場人物たちの、どのお金の使い方が絶対的に正しいとか間違っているというものではなく、相互に影響しあいながら、良きところを見つけていくような描き方が観ていて心地よいのだ。

 現代において、「お金」というテーマは、ヒロインと同じく働く女性にとっては、身近で切実な話題だし、だからこそ、オリジナルドラマでもテーマとして成立したのだと思われる。

 近年、ドラマの多くは、漫画や小説を原作にしたものであった。結果、漫画家や作家が身近に感じて描いた、切実なテーマが自然とドラマにも多くなっていた。しかし、ドラマのオリジナルとなると、視聴率への気負いも出るものなのか、こうした身近なテーマが見過ごされがちでもあった。しかし、本作を観て、ドラマの前向きな変化を感じた。

 それもこれも、これまでにも、TBSをはじめ、各局がこうした身近で切実なテーマの原作ものをドラマ化してきた歴史がベースになっているからだろう。

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