『カネ恋』プロデューサーに聞く、TBS火曜ドラマが目指すもの 「元気が出るドラマを届けたい」

『カネ恋』プロデューサーに聞く、TBS火曜ドラマが目指すもの 「元気が出るドラマを届けたい」

 松岡茉優が主演を務めるTBS火曜ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』(以下『カネ恋』)が9月15日にスタートする。

 本作は、『凪のお暇』を手がけた大島里美のオリジナル脚本で、「お金」と「恋」をテーマにしたラブコメディ。おもちゃメーカーの経理として働く清貧女子と、お金にルーズな浪費男子。真逆の金銭感覚を持つ2人にラブは芽生えるのか!?

 初回オンエアに先駆けて、リアルサウンド映画部では東仲恵吾プロデューサーにインタビュー。取材を重ねる上で、多くの女性が抱える「恋(感情)」「お金(現実)」のギャップも見えてきたそう。今、『カネ恋』で描きたかったこと、そしておもちゃメーカーならではの見どころについても聞いた。

「ムダ」の中にある「幸せ」を考えたい


――「お金」と「恋」と聞くと、「現実」と「夢」というくらい相容れない言葉に感じてしまうのですが、それをなぜあえてテーマにしたドラマを企画されたのでしょうか?

東仲恵吾(以下、東仲):そうですよね。一見ものすごくかけ離れているもののように見えますが、恋の先に結婚となった場合、急にお金の話をしなければならなくなる。ちょうど企画が立ち上がったのが「老後に2000万円の貯蓄が必要ですよ」とアナウンスされたころで、そのリアクションが実に様々だったのが興味深く思いました。実は、恋愛や、もっといえば生き方とお金の使い方って、私たちが思っていた以上にリンクしてるんじゃないかなと。そこを見つめるドラマを作ってみたら面白いんじゃないかというのが始まりですね。

――現実的な問題を見つめながらも、おもちゃメーカーとはまた夢を感じさせる舞台ですね。何か狙いがあったのでしょうか?

東仲:お金の話ではあるけれど、どこか楽しさというか、ギスギスしない雰囲気にできないかと考えていました。その中で、おもちゃというのは、心を満たしてくれる象徴でもあると思うんです。ちょっと乱暴な言い方をしてしまえば、生活にどうしても必要な実用品ではないという意味では「ムダ」なものですが、悲しいときには元気をもらえるし、あったら心や人生がより豊かになるもので。そういうところにどれくらいお金をかけるか、というのもこのドラマのテーマに繋がっていると考えて、おもちゃメーカーを舞台にしました。大手メーカーのバンダイさん、ロボットベンチャーのGROOVE Xさんともコラボして、いっぱいおもちゃを作ってセットに配置しているので、ぜひ細部までチェックして楽しんでほしいです。

――たしかに大人になると趣味にどれだけお金をかけるかって、すごくその人の価値観が出ますね。本人にとっては幸せこの上ない大人買いも、他の人から見たら「ムダ」遣いということも……。

東仲:そうなんです。劇中に、ペットとして「LOVOT」という家族型ロボットが登場するんですけど、性能の高さは世界トップクラスなんです。それだけの高い技術力を駆使して、人を癒やすためだけに集中させて作られたもので、これも一見すると、技術の「ムダ」遣い。でも、そこにロマンを感じる人はたくさんいるんですよね。金額の大小はありますが、その「ムダ」なところにこそ、人の幸せがあるように思えて。そこを一緒に考えられるドラマになればいいなと思っています。

世界がガラリと変わって、台本も急きょ変更に


―― 正反対な金銭感覚の男女を描く上で、「清貧女子」と「浪費男子」という形にしたのは、何か思いがあってのことですか?

東仲:やはり、火曜ドラマ枠なので主人公は、芯の通った女性にしたいと思いました。一見すると、周りから「変わり者」と言われるけど、信念を持って生きているような女性を描きたいと考えていて、実は、東京オリンピックに向けて、社会はもっと浪費傾向になっていくんじゃないかなと当時は思っていました。多くの人が大量購入、大量消費をしている中で、モノを大切に使うようなヒロインを描いて、「浪費男子」のようにたくさん買ってしまうことにも共感できるけど、「清貧女子」のように自分なりの価値観も大事だなって胸に手を当ててもらえるように……と考えていたんですが、情勢も目まぐるしく変わり、どちらかと言えば社会全体が「清貧女子」の価値観にグッと引き寄せられた形になって驚いています。

――このコロナ禍で、外出自粛中に断捨離をされた方も多く、そのとき自分に本当に必要なものは何かと見つめ直すタイミングにもなりましたね。

東仲:なので、台本をもう一度見直して、いろんな部分を変えました。多くの人が共感する価値観が逆転してしまった。それだけ社会が変わったんだと実感しながら。でも脚本家の大島里美さんは、すごく人を見つめる目というか、本当に共感できるキャラクターを作り上げるのが上手な方なのでとても丁寧に紡ぎ上げてくれました。「清貧女子」「浪費男子」の2人に限らず、お母さんだったり、元彼女だったり……十人十色のお金の使い方をしている人が出てくるので、「自分はこの人タイプだな」と投影したくなるキャラクターに出会える形になっていると思います。

――モノを大切にしている清貧女子がヒロインということで、衣装などにもこだわっているのでしょうか?

東仲:「清貧」とは「清く」「貧しく」と書くのですが、その姿が素敵でなければ、ただの「ケチ」に見られてしまいかねません。だから劇中に出てくる服やカバン、ハンドメイドのアクセサリーには、彼女なりの美を追求していることが見える形になっています。自分の好きなモノを、好きな形で使うっていうのが、可愛らしく思えてくるはずです。リメイク服なんかは、衣装さんが実際に手縫いで作られているので、注目してください。それから、自宅のセットも彼女の趣味のものが、独自のルールのもとで配置されているので、そこも注意深く見てもらえると、面白いと思います。

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