高城れに、『彼女が成仏できない理由』で見せる“演技派女優”の顔 ももクロとは違う魅力を発揮

『彼女が成仏できない理由』高城れにの魅力

 4人組アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の高城れにが、現在NHK総合の「よるドラ」枠で放送されている『彼女が成仏できない理由』で、ソロでドラマ初主演(森崎ウィンとのW主演)を果たし、アイドルの顔とは違う女優としての新たな魅力を発揮している。

 『彼女が成仏できない理由』は、ミャンマーから日本に漫画留学したエーミン(森崎ウィン)と、激安物件の古いアパートの部屋に住み着く、色白で黒髪の幽霊・小鳥遊玲(高城れに)との共同生活を描いたビターテイストのラブコメディ。

 高城れには、国民的アイドルグループ・ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)の紫色を担当する、最年長の27歳。いつも笑顔を絶やさず、グループきってのバラエティ班として活躍し、メンバーやファンに愛されるキャラだ。

 これまではももクロとしてのカメオ出演や、2012年の映画『ももドラ momo+dra』、2013年のドラマ『クリスマスドラマ 天使とジャンプ』(NHK)などの作品に出演してきたが、ももクロが女優として高く評価されたのが、高校演劇部を題材にした2015年の映画『幕が上がる』。高城は、いつもの明るくコミカルな高城の魅力をそのまま活かしたようなキャラだが、母子家庭という複雑な設定も。父親を題材に「肖像画」という一人芝居を部員それぞれに演じるのだが、高城は彫像を、父親ではなく呑んだくれのおじいちゃんに見立て、コミカルに面倒を見る芝居をしてから「母子家庭だからおじいちゃんが面倒を見てきてくれた。おじいちゃんが歳をとった時守れるのは私だけなんだ、だから今私は看護師を目指してます」と笑顔を見せる。わずか十数秒の一人芝居で、その明るさと優しさが伝わる感動的な劇中劇を演じ、自然体の演技が女優としての可能性を感じさせた。何より楽しそうに演技をしているのが伝わる一幕だった。

 その後も、個人での目立った女優活動はなく、2019年4月放送の『ももクロChan』(テレビ朝日系)で、メンバーの百田夏菜子や佐々木彩夏が主演級で映画や舞台で活躍するも、主演を務めたことがない高城は「主役をやるためには一体何が足りないのか?」と玉井詩織とともに舞台役者たちに会いに行くという、自虐ネタとして番組を作るほど。かつて2014年の『Quick Japan』の高城れに特集で、当時の川上アキラマネージャーは「高城さんの場合は、経験すれば経験しただけ色んなものを吸い込んでいく土壌というかキャパシティがある」と話していた。

 その言葉の通り、ソロ活動として、お笑い芸人・永野とのお笑いツーマンライブ、エキセントリックコミックショー「永野と高城。」を3年連続で行い、永野の過激でシュールな台本に高城は物怖じすることなく、様々な変な人を自然にやりきった。しっかり演技で観客を笑わせる姿は、純然たる喜劇役者としての成長を感じさせた。そして、スターダストが13年間女優として温め続け、機が熟したタイミングで今回の『彼女が成仏できない理由』の主演に抜擢。ファンの間でも「やっと本領発揮だ」という期待の声が多く上がった。

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