森崎ウィン、『海獣の子供』での声優初挑戦で学んだ役との向き合い方 「毎回新しい発見がある」
映画『海獣の子供』が6月7日より公開されている。
本作は、五十嵐大介の同名コミックを、『鉄コン筋クリート』で第31回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞したSTUDIO4℃が映像化。“海を舞台とした生命の秘密”をテーマに、ヒトと自然世界の繋がりを描く。
今回リアルサウンド映画部では、謎多き海洋学者アングラードを演じた森崎ウィンにインタビューを行った。初めてのアニメーション声優挑戦への思い、アフレコでのエピソードなどじっくり語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
「お客さんに押し付けないように」
ーー今回アニメーションの声優に初挑戦ということですが、オファーを受けた際はどんな気持ちでしたか?森崎ウィン(以下、森崎):声優の経験がなかったので、最初はびっくりしましたし、作品名を聞き、映画『海獣の子供』は知っていたので、こんな大きな映画に参加するんだとすごく不安でした。原作は知らなかったのですが、アニメは好きで、ただ自分が関わることはないと思っていたので、声をやるということに対してすごくハードルが高かったです。
ーー脚本を読んだ時はどうアプローチしようと思ったんでしょう?
森崎:最初に脚本を読んだとき、この映画がどういう映画なのか、簡単にはわからなかったんです。そのわからないということを、自分が演じることで、お客さんに押し付けないようにしようと思いました。僕が演じるアングラードは謎の天才海洋学者というキャラクターで、セリフの内容や、言葉の1つ1つに疑問を含ませるという点でも難しかったです。でも“正解がわからない”ことを感じながら演じるとすごく面白みがあったんです。
ーー声だけで演技するというところに挑戦はありましたか?
森崎:アングラードという役だからというわけではなく、僕ひとりの演技で完結させずに誰かとリンクさせなきゃいけない中で、キャラクターがどう呼吸しているのか最初はわからなくて。台本をもらって練習している中での最初の壁でした。
ーー公式のコメントでも「呼吸を合わせる」という言葉を強調していましたね。
森崎:アフレコの中でもセリフがどんどん変わっていったんです。口の動いている拍がどうしても多くて、セリフが入りきらない。そこで「彼はここで何を言いたかったんだろう」ということを現場で監督含め皆さんで考えて、アングラードに向き合っていたのがすごく印象深かったんです。「このセリフをこういう尺でこの呼吸の取り方で言っているなら、その意味はなんなんだろう」と、家で1人で考えても答えは出なかったところがありました。それが現場でどんどん変わっていって、でも根本的に伝えたいことをなくさないように調整している作業はすごく新鮮で。勝手なイメージですが、アニメは絵が決まっていてセリフも決まっていて、いわばちょっと固められているものだと思っていました。でも実写のように現場で芝居が変わる瞬間がアニメでも起きているんだというのが、アングラードは生きていると実感した瞬間ですね。
ーー渡辺歩監督のディレクションで印象に残ったことはありますか?
森崎:最初怖い方なのかなとか勝手に想像してたんですけど、すごく柔らかい方でした。てっきり監督のイメージがすごく強くて、それに沿わないといけないと思っていたんですが、現場でお会いしたら「まずはゆるくやってみよっか」と。僕自身がスロースターターなのを瞬時に感じていただいて、僕をどんどん持ち上げつつ、監督が欲しいアングラード像にしっかり導いてくださりましたね。