本郷奏多、大河ドラマ初出演とは思えない佇まいで魅了 『麒麟がくる』新キャラ投入で再開

『麒麟がくる』新キャラ投入で再開

 6月7日から放送が中断されていたNHKの大河ドラマ『麒麟がくる』の放送が再開した。多くの視聴者が待ち望んでいただろう第22回「京よりの使者」は、久しぶりの『麒麟がくる』の世界に新しい風を吹き込んだ。

 織田信長(染谷将太)が今川義元(片岡愛之助)を討ち果たした桶狭間の戦いから4年。京では足利義輝(向井理)がすっかり操り人形と化し、力なく過ごしていた。実権を握っていたのは三好長慶(山路和弘)である。己の境遇に投げやりになってしまったかと思えた義輝であったが、明智光秀(長谷川博己)を目の前に「ワシは麒麟を呼べる男になりたいのじゃ」と訴えるのだった。大義を忘れることのない将軍・義輝の力になりたいと、光秀は強く思う。将軍家の力を取り戻すには力のある大名の支えが必要だと考えた光秀は、信長を京へ連れてくることを自ら申し出た。

 一方、駒(門脇麦)は、かつて駿府で老人から作り方を教わった丸薬をめぐり東庵(堺正章)と大喧嘩になってしまう。喧嘩の末、診療所を飛び出した駒だが、伊呂波太夫(尾野真千子)の元を訪れたことがきっかけで、2人の人物と運命的な出会いを果たすことになる。

 1人目は、駒が伊呂波太夫の家を訪れたときに、伊呂波太夫とすごろくに興じていた若き関白・近衛前久(本郷奏多)である。将軍の義弟であり伊呂波太夫とは義理の姉弟でもある前久は、見るからにまだ若々しいが、鋭い眼差しと上品な佇まいが印象的だ。

 前久を演じるのは、映画界で立て続けにヒール役をこなし、期待を裏切らない姿を見せてきた、大河ドラマ初出演となる本郷奏多。『鋼の錬金術師』(2017年)のエンヴィー役や『キングダム』(2019年)の成キョウ役、『Diner ダイナー』(2019年)でのキッド役など個性が際立つ芝居を得意とし、本郷独自の世界観に観る者を引き込む力を持っている。今回は、童顔で愛らしい顔立ちの本郷が圧倒的に年上である松永久秀役の吉田鋼太郎と、義輝の命脈を巡り渡り合う場面があるのだが、その対立構図の絵面が強烈なインパクトを残す。高笑いをする吉田に対して、口の端を歪めながら眼光鋭く睨みをきかせる本郷の静かな“怒り”は、ピリピリとした空気をお茶の間にまで伝搬させる。胃のあたりをおさえ、「この辺りが(キリキリする)」と言う前久には、その神経質そうな仕草と表情が実によく似合っている。今後の出番も多いであろう前久の活躍が楽しみである。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる