「笠松将、映画を描く」第3回『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』 「日本への愛とリスペクト」

笠松将が綴る『KUBO/クボ』

 映画・ドラマに活躍の場を広げ続ける俳優・笠松将。2020年はヒップホップ界のレジェンド・SEEDAによる名盤『花と雨』を原案とした同名映画で主演を務め、圧倒的な存在感を放つ。妥協なき役者道への思いは、2019年5月に行ったインタビュー(笠松将、初めて明かす“役者”への思い 「1番になるまでは絶対にやめられない」)でも語ってくれたが、その際に意外な特技として明かしてくれたのが、“絵を描くこと”。笠松将が映画を通して、何を思い、何を考えたのか。オリジナルイラストと共に彼の深層に迫っていく(編集部)。

 毎度のことながら、締め切りから2週間以上が経過した今(20.08.27am1:31)、いろんなタイミングが重なり、『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』というアメリカ産の、日本をテーマにしたアニメーション映画について、僕なりに考えてみました。

 冒頭から、「瞬きすらしてはならぬ」みたいなセリフから物語が始まります。

 今作は3Dストップモーションアニメです。世界最高の技術と、一週間かけて3.31秒を作るという気の遠くなる作業で102分の作品を完成させています。個人的に繊細と迫力のバランスが気に入っています。

 物語も、伏線と回収の繰り返しで、大人が観て楽しめるアニメーションだと感動しました。

 映画が始まっても、主人公「クボ」の目的やゴールみたいなものが全く見えないので、その時、目の前に起こる出来事を自分たちも解決しているような心地よい錯覚を感じることができました。

 そしてなんといっても、これは日本の物語であり、日本への愛とリスペクトを感じました。

 トラヴィス・ナイト監督の実の父、フィル・ナイト氏は、日本の靴をアメリカで販売する仕事をしていました。1960年頃に世界を一周して、日本へも来られています。仕事の傍ら、富士山を登ったり、広島の原爆ドームへ行ったり、当時のオフィスには日本刀のお土産も置いていたそうです。

 今作は、日本をテーマにした家族の物語です。

 日本の靴をアメリカで販売していたお父様。半世紀後に、トラヴィス・ナイト氏が日本をテーマにした作品を製作してくださったこと。日本に生きている人間として、なんとも言えない幸福な、優しい気持ちになれました。

笠松将 自画像

■笠松将
1992年11月4日生。愛知県出身。主な出演作に映画『ドンテンタウン』『花と雨』『転がるビー玉』『おいしい家族』『ラ』『デイアンドナイト』。ドラマ『つながりたくて、嘘をつく』(LINE VISION)『いとしのニーナ』(FOD)、『FOLLOWERS』(Netflix)、『平成物語 なんでもないけれど、かけがえのない瞬間』(フジテレビ系)など。映画『ファンファーレが鳴り響く』が10月17日より公開。

■作品情報
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』
監督:トラヴィス・ナイト
声の出演:アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラ、レイフ・ファインズ

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