松本潤、小栗旬ら豪華キャストだけじゃない 『ごくせん』で仲間由紀恵のコメディ演技を堪能

『ごくせん』仲間由紀恵のコメディ演技を堪能

 新型コロナウイルスの影響で4月クールに放送予定だった新作連続ドラマが軒並み放送延期を余儀なくされたことで、期せずして巻き起こった再放送ラッシュ。各テレビ局が人気作を相次いで放送しているなか、2002年に放送されて社会現象を巻き起こした『ごくせん』(日本テレビ系)が特別編として帰ってきたというのは、まさに“満を持して”といったところか。この2002年版のシーズン1だけでも松本潤をはじめ、小栗旬や松山ケンイチなど、生徒役から後の大スターを次々と発掘。さらには学園ドラマが若手俳優たちの登竜門としての役割を果たすという、近年もつづく流れを本格的に確立した作品でもあるため、年を経るごとにその価値を高めている作品だ。

 極道の“大江戸一家”の跡取り娘である山口久美子(仲間由紀恵)が教師になるという夢を叶え、問題児だらけの白金学院3年D組の担任の先生(あえてこのフレーズで言っておきたい)となり、生徒たちと心を通わせながら奔走していく姿が描かれていく本作。6月10日に放送された第2話では、夜の街で偶然不良グループに襲われている教え子の南(石垣佑磨)を助けた久美子が、ふたたびその不良グループに連れて行かれた南を助けるために生徒たちに向けて熱弁を振るう場面が印象的だ。強力な相手に怯んで動こうとしない生徒たちに声を荒げながら、「人ってのは一人じゃ何にもできねえんだよ。だからつるんでるんだろ」と、“仲間”の大切さを必死で説いていく。

 そして授業が始まるというのに学校を抜け出す久美子は「生徒守れないなら教師やってる意味ないから」と捨て台詞を残して、南を探しに行くのである。ひとつのエピソードだけで数えきれないほど多くのストレートすぎるメッセージを投げかける点、そしてクライマックスには久美子が敵となる相手のもとに乗り込んでいき、生徒を奪還するという点。まさに仁侠映画や時代劇、はたまた西部劇のような実に明確でわかりやすい “善”と“悪”のコントラストと、それによって生じる安心感があるといえよう。それこそが、このドラマがシリーズ化や映画化もされるほどに人気を集めた最大の要因なのではないだろうか。

 前述した豪華な生徒役をはじめ、かなり語りどころの尽きないドラマではあるが、ここはあえて主演の仲間由紀恵にフォーカスを当ててみたい。90年代には大人しめな見た目を活かして、控えめな役どころを演じることが多かった仲間は、本作の直前に『TRICK』(テレビ朝日系)で突然コメディへの類稀なる適性を開花させる。本作では極道の跡取りという、ある意味“お嬢様”キャラでもあり、そう考えるとそれまでの仲間のキャリアを見事に集約させたものと捉えることができる。それに加え、毎週繰り広げる大立ち回りによってアクション性も磨いていく。近年ではすっかり10代の頃とは異なるタイプの落ち着きを得て、ミステリアスな役柄が多くなったわけだが、こうして溌剌とした演技を見ると、久しぶりに仲間のコメディ演技を見たくなってしまうものだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる