竹内結子と貫地谷しほりが現代の闇に切り込む 『ミス・シャーロック』は映像美にも注目
名探偵の代名詞になっているシャーロック・ホームズの歴史は、映像作品の歴史とそのまま重なる。映画、ドラマからアニメまで多彩な翻案がなされてきた中でも、『シャーロック』(フジテレビ系)との対比は興味深い。「アントールドストーリーズ」と呼ばれ、原作の本文で言及される“語られざる事件”をモチーフに、ディーン・フジオカと岩田剛典が現代の東京を疾走する同作は、「もしシャーロック・ホームズが生きていたら」という空想を具現化するものだった。
ディーン演じる誉獅子雄は“ミス・シャーロック”と同じく犯罪捜査専門のコンサルタント。通常人と異なる倫理観を持つがかろうじて犯罪を憎むミス・シャーロックに対して、自身の内なる犯罪衝動を隠さない獅子雄はより犯罪者に親近感を抱いており、その違いがテーマにも反映されている。サイコサスペンスの要素を持つ両作は終盤で根源的な「悪」と対峙するが、エンターテインメントに振り切った『ミス・シャーロック』と最終的に答えを視聴者に委ねた『シャーロック』の違いとも言える。
以上を抜きにして、竹内・貫地谷による本作がこれまでのホームズ関連作品の中でも圧倒的に華のある作品であることは間違いない。主役2人の演技だけでなく、衣装や室内装飾の映像美も目を楽しませてくれる。名探偵にふさわしいこだわりの詰まった『ミス・シャーロック』をぜひ見届けてほしい。
■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログ/Twitter
■放送情報
『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』
日本テレビ系にて、6月5日(金)21:00〜(第1話&第2話を放送)
監督:森淳一、瀧悠輔、松尾崇
脚本:丸茂周、小谷暢亮、政池洋佑、及川真実、森淳一
出演:竹内結子、貫地谷しほり、小澤征悦、中村倫也、大谷亮平、滝藤賢一、⻫藤由貴、伊藤蘭ほか
制作プロダクション:ROBOT
(c)2018 HJ HOLDINGS, INC & HBO PACIFIC PARTNERS, V.O.F
公式サイト:https://www.hulu.jp/static/miss-sherlock/