『犬夜叉』続編制作決定はなぜ大きな話題に? 女性ファンを惹きつけ続けるその理由
高橋留美子原作アニメ『犬夜叉』のその後を描くTVアニメーション『半妖の夜叉姫』の制作が決定した。
『犬夜叉』は、『週刊少年サンデー』(小学館)にて1996年から2008年まで連載。妖怪が跋扈する戦国時代と現代を舞台に繰り広げられるファンタジー活劇でありながら、登場人物それぞれの人間関係、恋愛模様が繊細に描かれた。2000年よりTVアニメシリーズが放送され、映画4作品も劇場公開されるなど、様々なコンテンツが展開されている。
殺生丸と犬夜叉の娘たちをメインキャラクターとした新しい物語ということもあり、情報が発表されると、SNSをはじめとして大きな話題となった。『犬夜叉』をはじめ、『らんま1/2』などリアルタイムで楽しんでいたライターの田幸和歌子氏は、本作の大きな反響について以下のように語る。
「『犬夜叉』自体が人気作品なので、続編に対する驚きと期待の声がたくさんあったのと、一部には不安視する声もあるようです。というのも、あまりに熱狂的なファンがいる作品なので、ファンそれぞれの強い思いがあります。原作ではハッピーエンドで終わったのに、続編では、犬夜叉とかごめの子どもが親の顔も知らないという設定が明かされており、さらに当時弥勒役を演じていた声優さんが亡くなっていらっしゃることや、他の声優さんたちから今回の発表に驚きの声が出ていることなどから「続編に登場しないのでは?」と落胆しているファンもいます。また、作中で屈指の人気を誇るキャラクター殺生丸に子どもがいるという設定にも、ファンにとっての絶対的な憧れの人に、子どもができるショックがあるようです」
『めぞん一刻』『らんま1/2』『うる星やつら』など数々のヒット作を手がける高橋留美子だが、『犬夜叉』には特徴的なポイントがあるという。田幸氏は続ける。
「高橋留美子先生の作品の中でも、圧倒的に女性ファンが多いのが『犬夜叉』の特徴です。『めぞん一刻』や『うる星やつら』は男性ファンが多いのですが、『らんま1/2』あたりから女性ファンが増え、『犬夜叉』で完全に女性のものになったという印象でした。どの作品もホームラン級のヒットを飛ばしている中で、それぞれの時期のさまざまな世代の男女を取り込んできているんです。2019年の11月にNHK BSプレミアムで、『発表!全るーみっくアニメ 大投票』という番組が放送され、各作品の支持層が明らかになりました。この投票に関しては、リアルタイムで盛り上がっていた世代が必ずしも入れているわけではないのですが、例えば、『めぞん一刻』の支持層は40代が44.3%で男性が73%でした。『らんま1/2』は30代が37.6%で女性が80.4%、そして『犬夜叉』では、20代が57.6%、女性ファンが90.8%支持しています。この投票に参加している人とリアルタイムのファン層とのズレはあるとは思いますが、『めぞん一刻』は圧倒的に男性ファンが多く、『犬夜叉』の女性ファンが9割超えしていることは顕著に見える傾向で、高橋留美子先生の作品の多様性とファン層の広さが垣間見えると思います」