『犬夜叉』続編制作決定はなぜ大きな話題に? 女性ファンを惹きつけ続けるその理由
強い女性読者の支持について、要因にはまずキャラクターの強さがあるという。
「『うる星やつら』が典型的ですが、高橋留美子先生はキャラの描き分けがお得意で、ご自身があだち充先生との対談で『詰め込み型』『凝縮』とおっしゃっているように、作品にものすごくたくさんのキャラクターが出てくるんです。だからこそ、“キャラ推し”というのが『うる星やつら』ですでに出来上がっていたのですが、『犬夜叉』では、殺生丸が特に人気でした。最高にかっこよく冷酷無慈悲なクールキャラが、りんちゃんとの出会いによって人間の温かみを知って、不器用な優しさを見せるようになっていく姿や、父親に対する執着心、異母兄弟の犬夜叉との確執など悲しさも持ち合わせているという多面的なキャラクターに惹かれる女性ファンが当時たくさんいたんです」
さらには、ストーリー構成にも女性ファンを惹きつける強い力があったのだと田幸氏は続ける。
「また、犬夜叉が主人公の作品ではあるのですが、物語の視点の主人公は実はかごめちゃんで、この構造を少女漫画のように読んでいる方も多いんです。犬夜叉はかごめちゃんのことを大事に思っているのに、かごめちゃんはそれに気づいていなかったりと、近年多い鈍感系ヒロインのハシリみたいなところがあり、同性からの支持を集める要因とも言えます。ストーリーも、今までの『うる星やつら』や『らんま1/2』と比べてシリアス色が強く、ちょっと大人な漫画でもあったんです。人間の業の描き方が、『人魚シリーズ』に通じるところもあり、人間のドロッとした部分やダメなところ、弱く、どうしようもない愛おしさなども『犬夜叉』は描いている。登場人物のそれぞれの関係性や心理が丁寧に描かれており、恋愛要素やアクションといろんな要素をふんだんに盛り込んでいることも、女性が読みやすい要因でした」
連載完結から12年経つ今もなお絶大な人気が続く『犬夜叉』。最新アニメーション『半妖の夜叉姫』も、放送まで熱視線が注がれそうだ。コミック配信アプリ『サンデーうぇぶり』では、5月15日までの期間限定で『犬夜叉』が無料公開されている。今回の盛り上がりを機に改めて振り返ってみるのもいいだろう。
■放送情報
『半妖の夜叉姫』
2020年秋、放送開始予定
監督:佐藤照雄
シリーズ構成:隅沢克之
メインキャラクターデザイン:高橋留美子
アニメーションキャラクターデザイン:菱沼義仁
音楽:和田薫
アニメーション制作:サンライズ
製作:サンライズ、小学館、読売テレビ
(c)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ 2020
公式サイト:http://hanyo-yashahime.com/
公式Twitter:@hanyo_yashahime