『エール』における縁の下の力持ち? 松井玲奈、森七菜、佐久本宝の兄弟・姉妹キャラに注目
音(二階堂ふみ)の父を思うやさしい歌声が海に広がる。裕一(窪田正孝)と音はついに結婚の約束をした。だが、立ちはだかる壁はまだまだ多そうだ。『エール』(NHK総合)第5週は、裕一と音の恋が家族を巻き込む大騒動となった様子をクラシックの自由形式の「狂想曲」になぞらえた。
今週は、音と裕一が対面して仲を深めていく様子、同じく2人が共演する初舞台、そして結婚に関する親子交えた話し合いなど怒涛の勢いで物語が展開した。そんな中、2人を支える存在として光っていたのが彼らの兄弟・姉妹だろう。
裕一の弟・浩二(佐久本宝)は、自身がいつもないがしろにされてきたと思っていた。三郎(唐沢寿明)もまさ(菊池桃子)も、平等に可愛がっているとは言うものの、実際は裕一ばかりが自身の思う道を歩んできた。夢を追うことを許され、養子に入っても留学することを諦めず、結婚までしようとしている。裕一は心優しい青年だが、一方で頑固で夢にひたむきで、決して家族のために夢を諦めることはしなかった。古山家のために家業を継ぐことで遠回しに兄を支えてきた弟からしたら、兄が鼻持ちならない存在になっても致し方ないだろう。第22話での浩二自身の「時々、自分のことが嫌になる」という一言は、まさに端的に彼の気持ちを表している。
一方、関内家の吟(松井玲奈)や梅(森七菜)は音と切磋琢磨する間柄だ。吟は音と度々ケンカをするし、音がプロポーズされたときには「先を越されたわ」と悔しそうな表情も見せる。しかし、音が主演を演じた劇を観ている様子や、舞台で歌う姿を観ている様子からは妹を心の底から応援している姿が伝わってくる。本人は“長女”としての責任感を持っているようだが、妹たちに自分の考えを押し付けることもなく過ごしている。吟を演じる松井は、その清廉な姿と優しそうな佇まいで音を見守る。時たま見せる悔しそうな姿をとっても、松井の演じる吟は嫌味がなく朗らか。関内家は、誰かに対して腹に何か抱えたまま暮らすということはなさそうだ。