松嶋菜々子、『あんぱん』で“陰のある母親”に? 『なつぞら』のイメージ覆す新天地へ

松嶋菜々子、『あんぱん』で“陰のある母親”に

 2025年度前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』に、松嶋菜々子が出演している。やなせたかしとその妻・暢の夫婦をモデルにした物語で、松嶋が演じるのは柳井嵩(北村匠海)の母・登美子だ。国民的女優として長年にわたり第一線を走り続けてきた彼女が、再び朝ドラの舞台に立つというニュースは、多くのファンにとって感慨深いものとなっているのではないだろうか。

 だが、今回の役柄は従来の「母親像」とはやや趣が異なる。2019年度前期のNHK連続テレビ小説『なつぞら』では優しさと温かさを体現した“理想的な母”を演じた松嶋が、『あんぱん』では奔放さと強さ、そしてどこか陰のある母親像に挑むことになる。

 松嶋といえば、『やまとなでしこ』(フジテレビ系)や『家政婦のミタ』(日本テレビ系)など、時代を代表する作品に数多く出演してきた俳優だ。1996年度前期の朝ドラ『ひまわり』でヒロインに抜擢され、その名を世に知らしめてから、およそ30年にわたり第一線で活躍を続けている。

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 松嶋が演じる登美子は、文化的教養があり、美しさと勝ち気な性格を併せ持つ女性。早くに夫を亡くし、女手ひとつで息子を育てるが、その生き様には常に“自由”と“奔放さ”が同居している。息子・嵩の芸術的感性や独創的な発想にも影響を与えたとされる人物であり、いわば創造の源となるような存在だ。一方で、社会的な枠にとらわれないその振る舞いは、時に「母としてどうなのか?」という議論を呼ぶことにもなりそうだ。

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 ここで思い出されるのが、松嶋が『なつぞら』で演じた柴田富士子というキャラクターだ。北海道・十勝で牧場を営む柴田家の“お母さん”である富士子は、戦災孤児のなつを実の子のように受け入れ、時に厳しく、時に温かく見守りながら育てていく。その姿には昭和の理想的な母親像が重ねられ、多くの視聴者が涙した。家族を守り、子どもにとっての絶対的な安心であること。その支柱としての存在感は、松嶋の落ち着いた芝居と相まって説得力を放っていた。

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