劇場版『鬼滅の刃』で描かれる「無限列車編」はどんな物語? TVアニメを超える映像美に期待

 4月10日にAbemaTVで放送された『「鬼滅テレビ」無限列車編 新情報発表スペシャル』内にて、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開日が10月16日に決定したと発表された。今回は、劇場版で描かれる「無限列車編」の魅力を解説したい。

 『鬼滅の刃』は、シリーズ累計発行部数4,000万部の偉業を成し遂げている『週刊少年ジャンプ』(集英社刊)にて連載中の吾峠呼世晴による大人気漫画。昨年4月からTVアニメが放送されると、王道のストーリーに加え、登場する鬼や人間の深淵を描くドラマ性、アニメを多方面から彩る音楽や映像美から社会現象といえるブームを巻き起こした。

 TVアニメで描かれたのは、原作の1巻から7巻の前半部分までとなっており、「竈門炭治郎立志編」として主人公の炭治郎が鬼となった妹・禰豆子を人間に戻すために鬼殺隊に入隊し、同期の我妻善逸や嘴平伊之助らとともに鬼退治に奮闘する、いわば序章と位置づけられるだろう。TVアニメの映画化は、原作とは独立した形式でオリジナルエピソードが作られることが多いが、今回描かれる「無限列車編」はアニメの最終話の続きのエピソードとなっている。

 炭治郎たちは十二鬼月・累との戦いで使った「ヒノカミ神楽」の手がかりを入手すべく、無限列車で起こっている事件の解決に向かった炎柱・煉獄杏寿郎を訪れるも、「下弦の壱」である魘夢の血鬼術によって夢の中に閉じ込められてしまうところから物語は幕を開ける。物語全体を通してみれば、割かれた枠は短いながら、炭治郎の前に最初に訪れる転換期のエピソードが盛り込まれており、後に大きな影響を与えるという意味では劇場版でフィーチャーする理由は大いにあるといえるだろう。

 「無限列車編」は、端的に言えば「煉獄杏寿郎の過去」と「炭治郎の著しい成長」の2つが描かれることに集約される。煉獄杏寿郎は名家である煉獄家の出身で、父親の元柱・槇寿郎から直接指導を受け育てられるも、母親の死と父親が剣を放棄したことが重なり、自力で炎の呼吸を習得したという辛い過去が明かされる。詳細は、原作及び劇場版を持って確かめてほしいが、常に明るく気丈に振る舞い、強い正義感の背景にはこの過去が影響しているのだ。このように人となりを形成してきた背景描写が入ることで、キャラクターの輪郭をはっきりとさせ、物語への没入感を高める、というのは本作に共通する魅力だろう。

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